高次視覚パターン認識のダイナミクス:心理実験と数理モデル化
Project/Area Number |
26330170
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Research Field |
Cognitive science
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡部 修 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50343017)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Project Status |
Discontinued (Fiscal Year 2014)
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Budget Amount *help |
¥4,680,000 (Direct Cost: ¥3,600,000、Indirect Cost: ¥1,080,000)
Fiscal Year 2016: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2015: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2014: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | パターン認識 / 視覚 / 順応 / 残効 / 特徴空間 / 心理物理実験 / 階層モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
人の視覚系では,初期の領野で単純な画像特徴を抽出し,高次の領野でこれらを統合することにより,複雑なパターン認識を実現している.こうした階層的認識メカニズムは工学的にも応用され,大きな成功を収めている.また,視覚的な情景の理解がボトムアップによる一撃計算で実現されるという考え方は,近年の心理物理学にも大きな影響を与えている.しかし,もちろん我々の視覚認知が一撃計算だけで実現されるわけではない.本研究課題は,高次物体認知に関する心理実験を行うとともに,大規模な階層型パターン認識モデルを構築し,これらを対比することで人のパターン認識のダイナミクスを明らかにすることを目的としている.
平成26年度は,心理実験の実施に向けた準備と,数理モデルの構築を行った.まず,心理実験の準備については,実験環境の構築とプログラムの作成,および刺激の生成を行った.実験には,複数の自然画像と,その間を滑らかにつなぐモーフィング合成画像を用いる.このため,合成比率を細かく変えながら大量の画像を生成する必要がある.ここでは,Psychological Image Collection at Stirlingデータベースの顔画像を用いて,様々な合成顔を生成した.また,数理モデルについては,シミュレーション環境の構築およびプログラムの開発を行った.手書き文字パターン認識モデルとして広く知られているネオコグニトロンを6層構造に拡張し,自然画像から高次特徴を学習できるようにした.学習には,McGill Calibrated Colour Image Databaseの自然画像を,ランダムな位置で切り出した画像パッチを用いた.学習後の最上位層の特徴応答は,未知の自然画像とその間の合成画像に対し滑らかに変化し,定性的に人と同様の残効効果も示すことを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の通り,心理実験の実施に向けた準備,および数理モデルの構築と性能評価を行い,その成果を学会等で発表した.このため,現在までのところおおむね順調に進展していると判断できる.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に準備した実験設備等を用いて心理実験を実施するとともに,モデルを用いた実験刺激の分析を行う.心理実験としては,モーフィング合成した刺激を用いて物体残効実験を行う.これにより,刺激の特徴空間内での相互関係を評価し,特徴空間マップを作成する.残効は,一般に,順応刺激とテスト刺激の認知的距離に応じてその効果が変化する.従って,様々な物体の組み合わせで残効量を測定することで,特徴空間内での相互関係が明らかになる.なお,この実験はヒトを対象とした視覚心理実験であるため,実験計画の倫理的評価を受ける必要がある.このため,まず学内の研究倫理審査委員会の承認を受け,その後実験を実施する.また,モデルが学習した特徴空間上でも,実験刺激の関係を評価するマップを作成する.これは,最終年度の検討の基盤となる.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
心理実験等に使用する設備はすでに準備している.このため,次年度の研究費は,研究発表にかかる費用(旅費,学会参加費,論文投稿料)が主要なものとなる.次年度使用額についても,研究成果発表にかかる費用の一部として使用する.
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)