炭素材料の機能化と融合による革新的電子/光デバイスの開発
Project/Area Number |
26709017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (A)
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Allocation Type | Partial Multi-year Fund |
Research Field |
Electronic materials/Electric materials
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鷹林 将 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (00464305)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Project Status |
Adopted (Fiscal Year 2015)
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Budget Amount *help |
¥21,190,000 (Direct Cost: ¥16,300,000、Indirect Cost: ¥4,890,000)
Fiscal Year 2015: ¥7,410,000 (Direct Cost: ¥5,700,000、Indirect Cost: ¥1,710,000)
Fiscal Year 2014: ¥13,780,000 (Direct Cost: ¥10,600,000、Indirect Cost: ¥3,180,000)
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Keywords | ダイヤモンドライクカーボン(DLC) / グラフェン / 電界効果トランジスタ |
Outline of Annual Research Achievements |
グラフェンはグラファイトの単層膜である.そのエネルギー-波数分散曲線は,フェルミレベル(K点)付近で直線形状となるため,通常の半導体とは異なり,静止質量「ゼロ」のワイル方程式でその特性が記述される.結果的にそのキャリア移動度は200,000 cm2/V sという途方もなく大きい値となり,現行の電子デバイスの微細化限界を打破する新たなチャネル材料として有望視されている. グラフェンを電界効果トランジスタ(FET)のチャネル材料に応用した場合,テラヘルツ級の動作周波数が期待されている.しかしながら,ソース/ドレイン電極とグラフェンチャネルとの低抵抗かつ高密着なオーミック接合,p/n-チャネルドーピング技術,およびゲートスタック/チャネル界面制御など,様々な課題が山積している.代表者は,特にゲートスタック/チャネル界面制御に注目し,同じ炭素材料であるダイヤモンドライクカーボン(DLC)薄膜をグラフェンFET(GFET)のトップゲート絶縁膜に適用することを試みた. DLCはsp2炭素・sp3炭素・水素の三成分から成るアモルファス炭素材料である.DLCはグラフェンと同じ炭素質であることから,グラフェンとの高い化学的親和性が期待できる.さらにアモルファス性かつ平坦な膜であることから,均質な膜質が得られる.しかしながら,その化学構造は未だ不明確であり,化学構造の解明と適切な物性制御法の確立が望まれている. そこで本年度は,独自開発した光電子制御プラズマCVD(PA-PECVD)法を用いてDLC成膜を行い,その成膜条件と得られた薄膜の電気・光学特性から,DLCの化学構造の解明を行った.さらに同CVD法の特徴を活かして,DLC膜中へのナノレベルのドーピング制御を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はまず,DLC応用の重要な基盤となる化学構造モデルの確立を行った.代表者は,独自開発した光電子制御プラズマCVD(PA-PECVD)法を用いてDLC成膜を行い,その成膜条件と得られた薄膜の電気・光学特性から,「sp2クラスター化学構造モデル」を独自に提案した.同モデルは,DLCの成膜ガス濃度・圧力などの熱力学条件と,得られた薄膜の誘電および絶縁性の電気特性とを結びつけることができる.将来的にこのモデルを展開していくことで,広くDLC一般の膜制御法にも応用できることが期待される. さらに本年度は,PA-PECVD法の特徴を活かして,DLC膜中へのナノレベルのドーピング制御も行った.DLCをグラフェン電界効果トランジスタ(GFET)のトップゲート絶縁膜として応用する場合,ゲート/チャネル界面制御の他に,p/n型ドーピング制御が必要とされる.これは,GFET構造における電子・正孔キャリア制御だけでなく,グラフェン特有の低キャリア密度に起因する寄生容量やアクセス抵抗成分の低減に必須とされる.そこで代表者は,PA-PECVDの光電子制御Townsend放電(PAT放電)を活用して,DLC膜中への酸素ド-ピングのナノレベル制御を行った. 結果,DLCの誘電率には変化が見受けられなかったものの,酸素ドーピングによって,現行の二酸化シリコン膜(SiO2)に匹敵ないしこれを凌駕する10 MV/cmを超える絶縁特性を得た.これより,炭素系材料の電子デバイス材料応用へ新たな道が拓かれるものと期待される.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は,sp2クラスター化学構造モデルを基盤としたDLC薄膜の電気特性制御を行う.制御されたDLC薄膜とグラフェンとの界面親和性について検討し,その制御法を確立する. さらにDLC薄膜中へのドーピングについて,酸素の他に窒素やフッ素等も検討し,ナノレベル制御によるDLC薄膜の新規物性の開拓を行っていく.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は,平成26年度で得られた研究成果の論文出版費用に充てる.平成27年度分は,DLC成膜ならびグラフェン電子デバイス作製費用の他,光学特性評価のためにファイバー型微小領域反射率測定装置購入に充てる.
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Report
(1 results)
Research Products
(8 results)