Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
Li[Li0.2Al0.4Mn0.4]O2 は,逆共沈法および固相反応を用いて合成した.比較対象試料として,Li[Li0.2Ni0.4Mn0.4]O2も同様に合成した.得られた粉末に導電助剤と結着剤を加え合材正極を作製した.正極および負極と参照極(リチウム箔),セパレータ,電解液(1M LiPF6, EC/EMC)からなる電池を作製した.両試料ともに,リチウム過剰系正極材料に見られる典型的な充放電プロファイルを示し,大きな初期不可逆充電容量を示した.初期放電以降は可逆的な充放電特性を示した.酸素の酸化還元反応を観察するために,立命館大学SRセンターBL11にて,大気暴露せずにトランスファーベッセルにて封入した電極のOのK吸収端のX線吸収分光(XAS)測定及び酸素O1sのX線光電子分光測定をSPring-8 (BL28XU)にて行った.マンガンの挙動に関しても,Mn KとL吸収端のXAS測定をおこなった.Li[Li0.2Al0.4Mn0.4]O2正極の初期充電時においては,Mnの価数変化はほぼなかった.O K端XAS測定より,充電に伴い酸素の酸化を示唆するスペクトル変化を確認した.得られたスペクトルは超酸化物または過酸化物状態の酸素が結晶構造中に生成することを示唆していた.初期放電後以降のサイクルにおいては,MnとOの酸化還元反応を確認した.AlをNiに変更したLi[Li0.2Ni0.4Mn0.4]O2正極においても,NiとMnによる酸化還元反応に加えて,酸化物イオンの酸化還元反応が進行していると考えることができる.Li[Li0.2Al0.4Mn0.4]O2正極は電気容量がLi[Li0.2Ni0.4Mn0.4]O2と比較して小さかったことから,酸化物イオンの可逆的な酸化還元反応には,Niが重要な役割を果たしていることが分かった.
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