Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
現在のがん免疫療法の長所を融合した画期的ながんの遺伝子治療法の開発を目指した基礎的研究を行う。本研究では、がん特異的T細胞受容体 (TCR) 遺伝子と抗アポトーシス誘導受容体抗体のキメラ受容体 (CAR) 遺伝子を導入したT細胞を作成する。作成したT細胞は、TCRが細胞内がん抗原を、CARが細胞表面のがん抗原を認識し、TCRと抗体の両方の長所を備えたがん細胞障害性T細胞であることが期待される。具体的な方法として本研究では以下の実験を計画している。我々が独自にクローニングしたTRAIL (TNF-related apoptosis-inducing ligand receptor) 受容体抗体のキメラ受容体(CAR: Chimeric antigen receptor)と肝細胞がん抗原α-fetoprotein (AFP) 特異的TCRを導入した健常人末梢血リンパ球によるがん細胞特異的な細胞傷害活性を評価する。上記方法の予備実験として、抗TRAILの重鎖と軽鎖をリンカーでつないだ単鎖抗体(scFV: single chain variable fragment)と補助シグナル分子であるCD137分子、CD28分子、CD3ζ分子の細胞内ドメインを連結したキメラ受容体CAR(TR-CAR)発現ベクターを作製した。作製したTR-CARを健常人末梢血に導入したところ、TRAIL受容体を発現する4種の細胞株すべてに効率的に細胞死を誘導した。よって、この方法を用いることで、TRAIL受容体を発現するがん細胞を効率的に傷害する細胞療法になる可能性が示唆された。