Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
シナプス小胞のダイナミックな動きはシナプス伝達において重要だと考えられる。しかし、シナプス前末端での小胞のモビリティについては明らかになっていない。本研究では巨大シナプスヘルドのカリックスで蛍光プローブ量子ドットをエンドサイト-シスにより小胞内に取り込ませ、高空間分解能単一小胞イメージングを行うことで、神経活動に依存したシナプス小胞リサイクル過程を明らかにすることを試みた。神経活動の存在、もしくは非存在下で単一シナプス小胞の蛍光イメージングを行い、シナプス前末端において小胞のモビリティを計測した。GFPで可視化したシナプス前細胞を20Hzで電気刺激して神経活動を誘起し、シナプス後細胞からパッチクランプにより電気信号を計測することで神経活動が特定の頻度で生じていることを確認した。蛍光画像解析により3つの異なるシナプス小胞の動きが観察された。一つ目は刺激によってシナプスでモビリティが増加するものである。小胞モビリティに関与するタンパク質を明らかにするためにアクチンフィラメント、微小管の重合を阻害するラトランクリン、ノコダゾールを添加してモビリティの変化を解析した結果、ラトランクリンの添加により小胞のモビリティが増加した。したがって神経活動がない状態では小胞はアクチンフィラメント関連タンパク質により動きが制限されていることが示唆された。二つ目には刺激中に隣接するシナプスに移動するシナプス間移動が観察された。この結果から小胞はシナプス間で共有されていることが示唆された。また三つ目には輝点が途中で消失する、細胞外に排出されたような動きが観察された。エキソサイトーシスにより量子ドットが細胞外に放出され焦点外に消えた可能性が考えられる。これらの結果からシナプス小胞は神経活動によりモビリティが増加し、シナプス小胞の放出サイトまで活発に移動することが明らかになった。
All 2014
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