Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
左心室のリモデリングは虚血性心疾患の代償性変化として起こる重要な病態であり、 急性期をのりきった後に左心室の拡大として顕在化する。左心室リモデリングをアポトーシスのイメージングで予測できれば重要な診断ツールとなりうる。本研究は心筋虚血再灌流ラットモデルに放射性アイソトープ標識アネキシンV(Tc-99m AV)を用いて障害心筋のアポトーシスを画像化し、アポトーシスと左心室リモデリングの関係性を検討した。方法 16匹のラットの左冠動脈を20から30分閉塞した後に、再灌流させ心筋虚血再灌流モデルを作成した。モデル作成2週間後にTc-99m AVを静注し、その1時間後に左冠動脈を再閉塞させ、心筋血流製剤Tl-201を静注した。心臓摘出後、2核種オートラジオグラフィーを行った。心筋短軸上で左心室拡張指数(左心室内腔面積/左心室全体面積)、左心室の壁厚比率(心筋虚血領域の壁厚/心筋非虚血領域の壁厚)、Tc-99m AV の心筋虚血領域への集積比率(虚血領域のTc-99m AVのカウント/非虚血領域のTc-99m AVカウント)を算出した。結果 10匹のラットでTc-99m AVの集積を心筋虚血領域に認めた。左心室心筋全体における心筋虚血領域の面積は、Tc-99m AVの集積の有無と有意な関連は認めなかった。しかしながら、左心室拡張指数は心筋虚血領域にTc-99m AVの集積を認めた群で有意に高くなっていた。左心室の壁厚比率はTc-99m AVの集積を認めた群で有意に低くなっていた。左心室拡張指数と壁厚比率は各々Tc-99m AVの心筋虚血領域への集積比率と有意な相関を認めた。結論 心筋虚血再灌流2週間後の傷害心筋へのTc-99m AVの集積は左心室リモデリングと関連しており、アポトーシスイメージングがリモデリング予測のための画像診断法になりうる可能性が示された。