Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
研究目的:トポイソメラーゼ阻害剤感受性に対する新規バイオマーカーの探索。研究実施計画:トポイソメラーゼ分解に着目した基礎研究を行い、臨床検体を用いてトポイソメラーゼ阻害剤の感受性バイオマーカーを探索する。研究成果:大腸癌においてトポイソメラーゼ阻害剤の感受性バイオマーカーの探索に向けた研究を行った。臨床場面で用いられるイリノテカン(CPT-11)といったトポイソメラーゼ(TopoI)阻害剤はDNAの立体構造の調整に必要なTopoIを標的とした抗癌剤である。消化器癌、肺癌、卵巣癌の治療によく用いられている。これらの抗癌剤はTopoIが分解された状態では効果がないことが知られている。今回、このTopoI分解メカニズムに着目し、CPT11感受性バイオマーカーの探索を行った。本研究ではTopoI分解の際にはTopoIのリン酸化部位であるS10が重要であることを突き止めた。さらに、この部位のリン酸化(TopoI-pS10)の発現がCPT-11の感受性と相関することが示唆された。また、このTopoI-pS10に対するモノクローナル抗体を作成し、TopoI-pS10発現を免疫組織化学染色にて大腸癌切除標本を用いて確認した。TopoI-pS10は癌細胞の核に発現していた。症例によってTopoI-pS10の陰性例、陽性例があることが分かった。現在、これらの症例をレトロスペクティブに解析中であり、実際にCPT-11を用いた症例についてその効果判定と照らし合わせている段階である。また、今後、CPT-11感受性の指標であったSDIとの相関も調べる予定である。