Research Project
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
最終年度はまず、陸上競技場曲走路上からスタートした場合に運動学的左右差がどの時点で出現するかを明らかにすることから始めた。陸上競技大会において100m走と200m走をハイスピードカメラにて撮影した。両種目に出場し、且つ1歩目が右足であった男子17名と女子9名について、スタート後1歩目から12歩目までの足部接地時間と滞空時間を算出した。結果を示す際は100m走を直走路走、200m走を曲走路走としている。曲走路疾走時の右足接地時間は直走路のそれに比べて短く、曲走路疾走時の左右滞空時間は直走路のそれに比べ長かった。また曲走路疾走時の左右を比較すると、右(外)足接地時間は左(内)足のそれより短く、9歩目以降で右滞空時間は左のそれよりも短くなった。以上のことから曲走路上からスタートした場合、9歩目以降で左右差が顕著に現れることが明らかとなった。その後、男子陸上競技短距離選手に曲走路上からスタートダッシュを行わせる実験を実施した。その動作とスタートブロックを蹴る力をモーションキャプチャシステムと昨年度作成したフォースプレートを用いて測定した。撮影範囲は約10mとし、スタートから6歩目のつま先離地までを画角に収めることが出来た。ブロックを蹴る力は直走路上からのスタートダッシュに関する研究と似た結果であった。左足支持中の進行方向変化量が右のそれに比べて大きかった。3歩目と4歩目を比べると、右足滞空距離(右足離地から左足接地までに身体重心が進行方向前方へ移動した距離)は左のそれに比べて長った。特に滞空期の長さは垂直方向の身体重心速度で決まる。垂直速度を高めるために右脚は左脚よりも大きな力を発揮して可能性がある。このように内側となる左脚は方向転換を、外側となる右脚は推進力獲得に貢献しているかもしれない。
All 2015
All Presentation (1 results)