Research Project
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
平成27年度は、イオン液体が作り出すトライボケミカル反応膜の構造解析を中心に取り組んだ。昨年度から取り組んでいたダイヤモンドライクカーボン(以下DLC)の深さ方向分析では、スパッタリングを用いた手法および角度分解法による非破壊での分析を行った。その結果、同じ元素を含むイオン液体では摺動後の反応生成物に差はないが、イオンの構造が異なることによって深さに対する反応生成物の存在比が変化していることが確認された。また、窒化シリコン(以下Si3N4)に対するイオン液体の潤滑特性およびトライボケミカル反応膜の調査を行った。同じ元素から成り、構造が異なるイオン液体では潤滑特性が大きく異なることが確認された。分析にあたり、スパッタによる反応膜の破壊を避けるため、試験後表面の洗浄方法について検討を行った。アセトン、ヘキサンでの洗い流しおよびアセトンへの浸漬洗浄後表面に対し、X線光電子分光(以下XPS)分析を行ったところ、反応膜と摺動材料との界面における情報が最も多く検出されたのはアセトンへの浸漬洗浄後表面であると判断された。前述の洗浄方法を利用し、Si3N4表面上のトライボケミカル反応膜にたいするXPS分析を行った。その結果①摩擦係数低減までに時間を要するイオン液体では、高摩擦時と低摩擦時で表面に存在する成分が異なっている②イオン液体の構造によって、摺動材料とイオン液体との反応生成物の存在比が異なっていることがそれぞれ確認できた。これらはイオン液体の構造によって、トライボケミカル反応膜の生成速度に差があることを示唆している。これは、当初想定していたイオン対間相互作用の強弱との相関性は見られなかった。以上の結果から、イオンの構造によって摺動時の分解・反応挙動が異なることが推察される。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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