Research Project
Grant-in-Aid for Research Activity Start-up
今年度はまず腫瘍関連マクロファージに焦点をあてて研究を行った。in vitroにおいて口腔癌がマクロファージに及ぼす影響を解析する為に以下の実験を行った。マウス単球白血病由来細胞株であるRAW264.7細胞をヒト口腔癌細胞株HSC3およびHSC4から作成した培養上清を添加し培養した後に、RNAを抽出しreal time qPCRにて解析した。HSC3細胞の培養上清を添加した群ではVegfCの発現が有意に上昇していた。またHSC4細胞の培養上清を添加した群ではVegfAとVegfCの発現のいずれも有意に上昇していた。これらの結果より口腔癌はTAMに作用し、VegfCなどの因子を介してリンパ管浸潤やリンパ節転移が誘導されている可能性が示唆された。次いでin vivoにおいて6週齢のBALB/c Slc-nu/nuマウスの頭蓋部皮下にHSC3およびHo-1-N-1細胞を移植した。2ないし3週間後に屠殺し病理組織学的に解析を行いマクロファージ様の多核細胞の存在を認めた。さらに4週齢のBALB/c Slc-nu/nuマウスの頭蓋部皮下にHSC3を移植しその2週間後にマウス間葉系細胞株であるST-2細胞を移植しその影響を調べた。癌細胞周囲にST-2細胞を移植することで、腫瘍の増殖能と骨破壊を促進する傾向を認めた。またさらにヒトの口腔癌に近似した動物モデルの作成を目的として、咬筋部に口腔癌細胞株を移植する動物モデルの開発および実験への応用を検討している。今後、ヒト検体にてTAMの存在や分布と予後や悪性度との関連などを検討しその役割を明らかにしていく予定である。またTAMが産生すると考えられるケモカインに焦点をあて、分子メカニズムを解析していく予定である。その成果により、口腔扁平上皮癌の病態の理解を深め、癌の増殖や浸潤などの予後予測や、新規治療法の開発への応用が期待できる。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。