Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「法教育教材」不足を背景に、現場の教員と法学研究者が連携した教材を作成することを目的とした。そして、完成した「法教育教材」が法学教育の専門家である研究者が持つ法律の専門的知識や「法教育」に関する理論と, 現場の教員が持っている生徒の思考力, 判断力, 表現力などを高める「教材力」として完成度の高い「法教育教材」になることを目指した。 具体的には、ルール作り, 立憲主義などのテーマについて, 東京大学, 京都大学, 金沢大学などの研究者から高校生を対象とした「法教育教材」向けの講義を受け, 受講後, 講義内容を「教材」化し, 出来上がった「教材」を研究者とともに「法教育教材」として適切か検討・修正した。そして完成した「法教育教材」を, 私や研究協力者の勤務校で実践し, アンケートなどで検証し, さらに改良を加えホームページなどで発表した。 本研究の結果、20を超える「法教育教材」が完成し、ホームページなどで発表することにより、「法教育教材」不足に悩む多くの現場教員, そして「法教育」そのものに貢献することが出来た。また、その内容は憲法・民法・民事訴訟法・判例研究と多岐にわたり、特に、これまで実践がなかったと思われる民事訴訟法をテーマとした教材開発が行われたことは、今後の法教育教材の開発においてリーディング・ケースとなった。さらに、法学研究者により「法教育教材」にふさわしい講義を受け、その法律を授業で取り上げる際に扱うべき法の趣旨や論点、考え方を理解して教材を作成することにより、完成度の高い「法教育教材」を作成することができることを示すことが出来た。
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