Outline of Annual Research Achievements |
○研究目的 : 本研究では, Zn-Ni合金めっきの変則型共析とNi-Wの誘起共析を組み合わせ, Zn-Ni-W系合金めっきを試みる。これまでの研究から, 電析膜のWは金属状態ではないことがわかっており, W金属の電析にはNiの優先的な析出が必要となることが予想される。そこで, Znの析出活性サイトに吸着してZn電析の抑制効果がある高分子化合物のポリアクリルアミドを添加し, その影響を調査した。 ○研究方法 : 電解浴の金属塩として, ZnSO_4・7H_2O 0.17 mol/L, NiSO_4・6H_2O 0.57mol/L, Na_2WO_4・2H_2O 0.06mol/Lを純水に溶解させた。また錯化剤としてクエン酸アンモニウム(NH_4)_3C_6H_5O_7を, 高分子化合物としてノニオン性で分子量が10_6~10_8のポリアクリルアミドを添加した。陰極にはFe板を用い, 電極面積は1㎠とした。電解条件として, 定電流電解法を用い, 電流密度0.1~100A/d㎡, 通電量6000C/d㎡, 浴温40℃の静置浴で行った。また陽極にはPt板を使用した。 ○研究成果 : 各電流密度での合金組成を調査した結果、ポリアクリルアミドを添加することで、50A/d㎡以上の電流密度ではZnよりもNiが優先的に析出したことを確認した。またXPSのW4fスペクトルにおいて, 主にW酸化物を示すスペクトルであったが、一部でのW金属の析出が示唆された。これにより, 電解浴にポリアクリルアミドを添加することで, Znの析出が抑制されてNiが優先的に析出した結果, 誘起共析によりWの一部が金属として析出したと考えられ、合金化による耐食性向上など電析膜の特性向上につながることが期待される。
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