○研究目的 マイクロ波は通信やプラズマ計測など多様に応用されている。しかし目に見えないものであるから、身近な存在であるにも関わらずその特性は周知されていない。そこでマイクロ波を目に見える形で検出し、教育に役立てるのがこの研究の目的である。 ○研究方法 マイクロ波源として9GHz帯のクライストロンとガンダイオード、25GHz帯のガンダイオードを用意した。それぞれ電圧を印加することでマイクロ波を発生する。 マイクロ波を検出する方法としてショットキーバリアダイオードによる整流・平滑化を考えた。これはマイクロ波により電子回路中に生じる交流電圧を直流電圧に変換する手法である。直流電圧に変換することで、マイクロ波の周波数に対応していない電圧計でもマイクロ波の検出に使えるようになる。平滑化にはダイオードが持つ微小な抵抗成分とコンデンサ成分を利用する。 マイクロ波の検出に用いるダイオードとして、ショットキーバリアダイオード1ss154(東芝製)を選んだ。そのカソード側をオシロスコープのプラス端子、アノード側をGND端子につなぎ、マイクロ波源に接続した導波管の導波管口から約1mm離した位置にダイオード1ss154を設置した。マイクロ波源に電圧を印加して導波管口から放出されるマイクロ波をダイオードに当てると、周波数が9GHzの時に約2.5V、25GHzの時に約170mVの電圧が生じたことをオシロスコープから確かめられた。 次に赤色LED(順方向電圧2.0-2.2V)をダイオードに接続した。これにより9GHzマイクロ波に反応してLEDが発光する。また25GHzに対しダイオードが生じる電圧はLEDを点灯させるのに不十分なため、トランジスタ2SC3964(東芝製)を用いてエミッタ接地増幅回路を製作し、LEDを点灯できる電圧へ増幅した。 ○研究成果 ショットキーバリアダイオードとLEDを用いることで周波数帯域がX-bandとK-bandのマイクロ波を目に見えるかたちで検出する方法を考案した。
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