Outline of Annual Research Achievements |
放射性物質の除染についての技術は確立されていない. このことを踏まえ, 小型装置を作製し, 電気泳動法によりセシウム, ストロンチウムを電気的に移動させ, 吸着材へ移行させる研究を行ってきた. 吸着材としては, 広範囲にわたる地域全体を除染するには, 優れた吸着性能を有しかつ, 極力廉価な材料を選ぶ必要があり, ゼオライトやヒドロキシアパタイトを使用した. 結果, 電解質としては酢酸アンモニウムを, 吸着材としてヒドロキシアパタイトを用いた結果, 48時間以上通電を行うと, そのほとんどが吸着材へ移動していることがわかった. しかしながら, 実験室内での小型装置による条件下であるため, 実際の現場では同様の吸着効果が得られるかどうかは不明であった. そこで本研究では検証するために, 吸着材の粒径や種類を替えたり, 装置形状を変えるなどして, 吸着性能を証査し, より効率的な方法を検証していくことを目的とした. 研究を始めるに際し, 問題点を整理し既出論文等で情報の収集を行った. 次に電解質溶液の濃度, 通電時間, 電極の素材を変化させて試験を行った. その際, 装置内の配置を横から縦に変更し, 現場に即した形とした. 試験後は原子吸光分析装置およびICP(誘電結合プラズマ分析装置)を用い, 吸着材中のセシウム, ストロンチウムの定量評価を実施した. 電気泳動試験により, 電極材料や, 泳動試験に用いる溶液の選定, 電流値, 通電時間, 分析法について様々な条件下での実験を行い, 最も合理的かつ経済的な実験方法の確立を計った. 研究の結果, 通電時間は48時間程度, 吸着材の粒径は1mm程度, 試料はベントナイトと吸着性能は大差がなかったが, より安価な材料であるハイドロキシアパタイトが最も効率がよいことがわかった. しかしながら, 再現性や溶液の濃度による違い, また最大の問題点の現場での検証されていない. まずは最も取り組みやすい再現性について引き続き検討を行っていく必要がある.
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