Outline of Annual Research Achievements |
1. 研究目的 必要な可動領域と安全性を有し, 容易な携帯と装着を可能とする軽量肩義手, すなわちユーザビリティが高い肩義手を開発することを目的とした. 2. 研究方法 下記により目標となる肩義手を開発する. (1)義手本体には小型の空気圧ゴムアクチュエーターを採用し, 軽量化と携帯性向上を図る. このアクチュエーターは空気とゴムによる粘弾性を合わせもち, 義手の柔軟性, すなわち肩義手使用の安全性に寄与する. しかし, これは軸方向の収縮時のみ力を発生可能なため拮抗構造が必要となる. またこのアクチュエーターの短いストロークとその拮抗構造の拘束により可動領域は小さく限定される (2)上記のデメリットを克服するためのデバイスを提案し, 試作アームに実装してその効果を確認する. この際デバイスはアーム全体の重量増加を引き起こすため, デバイスの小型軽量化を考慮する. さらに動力学方程式により, 拮抗構造での所要アクチュエーターレイアウトを計算, 実装し動作確認をする. 3. 研究成果 日常生活動作領域を考慮して義手寸法を決め, 2本のアームを試作した. 試作機1には可動領域と安全性(外部環境との衝突対応性)を向上できるゴム製柔軟フレーム部品とバネースライダ装置をデバイスとし実装した. 動作実験・障害物衝突実験を行い, 数種類の手先負荷を与えた際のアームの可動範囲, 衝突時の衝撃吸収能力及び衝突後の挙動すなわちアームの粘弾性を調査した. その結果, デバイスを実装したアームは上記の性質を向上させることを確認した. さらに試作機2では上記のアクチュエーターレイアウトを実装した. さらに被験者にフィットするソケットを製作し, 試作機2を被験者に装着して動作実験を行い250gの対象物を把持・移動できた. これにより製作したアーム及びデバイスの有用性を示した.
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