環境省絶滅危惧IA(CR)イチモンジタナゴの系統解析と保全
Project/Area Number |
26924016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Scientists
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
生物学Ⅱ(動物)
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Research Institution | 福井県両生爬虫類研究会 |
Principal Investigator |
川内 一憲 福井県両性爬虫類研究会, 農業
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2015-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2014)
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Budget Amount *help |
¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2014: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | イチモンジタナゴ / クリスタリン / 水晶体 |
Outline of Annual Research Achievements |
環境省絶滅危惧IA(CR)イチモンジタナゴの自然分布は, 琵琶湖, 三方湖, 由良川, 紀ノ川および濃尾平野である。近年, 生息環境の悪化に伴い急速に生息数を減らしている。 2014年4~11月の期間に、本種の新たな生息調査を行った地域は、嶺南地方では、若狭町と美浜町にまたがる三方湖と隣接する水月湖、菅湖および久々子湖に流入する河川で、さらに敦賀市の井の口川、おおい町の長井川および高浜町の子生川と片間川の各支流で、嶺北地方では、坂井市の兵庫川、鯖江市の日野川および越前市の天王川の各支流で行った。その結果、これらの調査地域から本種は確認されなかった。一方、産卵母貝となる二枚貝の生息調査では、ドブガイ、カタハガイおよびマツカサガイの生息地が、数地点から確認されたが、各地点での個体数は少なかった。 2014年6月発表の福井県立大の小北らによるミトコンドリアシトクロムbの遺伝子解析の結果(Ichthyol Res DOI 10.1007/s10228-014-0412-0)では, 三方湖産4個体中で琵琶湖産の遺伝形質が1個体から検出されたため100%三方湖固有集団と同定できていない。本研究では, 三方湖産に共通する三方湖固有の形質の検索のため, 2D-DIGE法を用いて水晶体構造タンパク質クリスタリンの分析を行った。その結果, 熊本産(琵琶湖産)および三方湖産に固有の形質が幾つか検出された。さらに、統計解析から、琵琶湖産と三方湖産との間で、少なくとも水晶体タンパク質クリスタリン組成割合に統計的に有意な差が確かめられた。以上の結果から, 三方湖産イチモンジタナゴは三方湖固有種である可能性が強く示唆された。 三方湖産イチモンジタナゴは100%三方湖固有種と同定できていないため、個体の繁殖・放流、地元への保護協力など行政・自治体への保護政策の提言ができていない。今後、多様な三方湖固有形質を指標とした環境DNA解析等を行い、保護増殖に向けた継続的な取組が必要である。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)