Outline of Annual Research Achievements |
研究目的 : 高校生の怒りの感情に随伴する不適切な対処行動に対する予防的介入に関する知見を得ることをねらいとして, 内容的妥当性と構成概念妥当性, ならびに信頼性の検討を通して, 高校生アンガーコーピング特性評価尺度の開発を行うことを目的とした。 研究方法 : 2014年4月, 試験的調査を基に作成した「高校生アンガーコーピング特性評価尺度」(暫定版)を用いて調査協力が管理者から得られたA県内8校の公立高等学校等に通学する高校生4, 056名に無記名自記式調査を実施した. その結果, 得られた有効回答票3, 360部のデータを尺度開発に投入した。内容的妥当性を探索的因子分析で検討し, 構成概念妥当性を抽出できた因子で斜交モデルを構築し, その因子構造のデータへの適合性を確認的因子分析で検討した. 尺度の信頼性はCronbachのα信頼性係数により検討し「高校生アンガーコーピング行動特性評価尺度」を開発した. さらに交差妥当性の検討のため, 開発した尺度を用いてA県の高校1~3年生847名を対象に2014年11月下旬から12月にかけて無記名自記式調査を実施した. 倫理的配慮として研究への協力は自由意思によるものであること, 途中で中断できること, データは研究のみに使用すること, ならびに研究結果の公示を明示した. また, 所属機関の承認を得て実施した. 研究成果 : 探索的因子分析では4つの因子が抽出され, 因子Ⅰは「援護要請」, 因子Ⅱは「状況分析」, 因子Ⅲは「暴力」, 因子Ⅳは「逃避」と解釈した。それら4因子16項目で構成される斜交因子構造モデルは, 構成概念妥当性を確認的因子分析で検討したところ, 適合度指標はCFI=0.906, RMSEA=0.070となり, 統計学的に支持され, 信頼性も許容範囲にあった. 交差妥当性についても適合度指標CFI=0.925, RMSEA=0.095であり, 統計学的に支持された. 前記尺度は, ラザルスのストレス理論における認知的行動的側面への反応という概念が統計学的に支持されたことから学問的な視点から見ても従来にはない簡便で有用な測定尺度が開発されたと推察された. 本尺度は, 高校生を対象とした激しい怒りへの対処として4つの領域で評価が可能であり, コーピング戦略の傾向を把握することが可能である. 研究成果は, 日本保健科学学会誌で発表する予定である.
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