Research Project
Grant-in-Aid for Research in Natural Disasters
本研究は、豪雨の時間的、空間的集中度あるいは降雨強度の変動性と降雨災害の発生との関連、および豪雨の集中度と降雨システムの構造との関連を調べることにより、地上の降雨および変動性を主にレーダー観測から推測し、降雨災害の発生を予測することの可能性を検討することを目的としている。60年度は、3年間の計画研究の最終年度として、59年度までの観測データの解折を続けると共に、3年間の研究成果の総括を行った。まず、豪雨と降雨災害の実態として、58年7月の愛知県春日井市の豪雨、58年9月の福岡市の豪雨、58年9月の登別市の豪雨、58年9月の名古屋市の豪雨などごく局地的な豪雨と積乱雲の発達、構造との関係をまとめ、積乱雲の群と豪雨との関連を、熊本県五木村の豪雨(59年6月)、北海道胆振地方の豪雨(58年8月)、梅雨前線のクラウド・クラスターの豪雨などについてまとめた。特に、59年6〜7月に9州で行った北大、名大、九大の協同による特別レーダー観測の成果として、積乱雲の群の形成、維持、衰弱の過程、群全体としての移動、3次元的なレーダーエコー構造、群の移動に伴う降雨の変動などが明らかにされた。これらの観測、解折の結果および従来の研究成果などをまとめて、降雨の時間的、空間的集中度の特性、豪雨の集中度とレーダーエコーとの関係を示した。また、数値予報による豪雨の集中度の予測の現状をまとめ、これまでの問題点、将来の展望を付言した。さらに、降雨量と災害発生との関係について従来のものをまとめる一方、新しい関係を示した。最後に、豪雨および豪雨災害の研究と予測へのレーダーの有効な利用法を検討した。特に、レーダから求められる雨量の地上雨量計データによる補正の問題点を示すと共に、気象庁、建設省などの広域用レーダと併用して狭域用レーダーを用いて豪雨発生の予測、降雨災害の発生の予測を行うことの利点を検討した。
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