Research Project
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research
本研究は行動分析の立場から行なうので知能や能力という実体の存在を仮定しないし、サーストンらに代表される知能の因子構造説をとっていない。かわりに環境への適応をより効率的に行なうことをより知的な行動を自発したと考える。行動の環境への適応はオペラント条件づけによって形成されるので「より」知的な行動は形成され変容されうるものと考える。オペラント条件づけには2つの基本的な過程が存在する。1つは刺激の選択すなわち刺激弁別であり、他の1つは反応の選択すなわち反応分化である。刺激弁別については非条件性弁別(単純弁別・刺激クラス弁別)及び条件性弁別(単純見本合せ・恣意的見本合せ)を区別することができる。一方反応分化においては非弁別性分化(行動形成・行動連鎖)と弁別性分化(単純模倣・刺激一反応恣意的対応)の2つが区別できる。それら基本的過程については多くの研究がなされているものの行動の履歴における複数過程間の影響や効果については研究がなされていない。つまり個体が新しい場面に直面した時、ただ試行錯誤的に反応するのでなく過去の随伴性にもとづいてその場面に適切な反応を自発すると考え、これを知的行動とみなすのである。従って上述した基本過程にもとづいて個体に形成された刺激構造化及び反応構造化を明らかにする事が知的行動の分析に必須である。以上の理論的分析により以下の研究を行なっている。【◯!1】行動のトポグラフィー及び随伴性についてのルールを3つの異なる条件で与えたところ3項強化随伴性が個体にとって特定化されないと行動変容がおきなかった。【◯!2】動物を用いた弁別実験の最終テストを3つの異なる方法でおこなった結果、テスト方法により般化勾配が異なった。【◯!3】中高齢者に機械のためのパタン認識用テスト課題を与えたところ、日常場面での対象認識に用いられる言語反応が多くあらわれた。以上の結果は刺激及び反応構造化の遂行行動における重要性を示唆する。