Research Project
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research
ソーファーフロートシステムの開発に関する最も重要な研究として今年度には、大規模な野外実験を、淡青丸航海で5月、平塚沖で9月、松島湾で10月、奥多摩湖で11月、白鳳丸航海で12月に行った。いずれも音源を係留し、受信器を下ろして音響信号の伝播を測定するものである。実験室や湖では170dBの音圧が得られるが、外洋実験では雑音レベルが高く信号の確認が困難であった。淡青丸実験では、係留作業中に高圧信号線が電気的にリークして、短時間で発信が停止した。この対策は、制御部をガラス球に収納していたものをアルミの耐圧容器に置き換えることで解決した。次に、白鳳丸航海では、ワイヤーの先端に内蔵記録式の受信器をとりつけた。ワイヤーを伝わる船体雑音のために、微弱な信号しか受信されなかったが、これに基づいて受信器も独立に係留することで解決できるめどがついた。次に、受信波形をもとに仕様を決定することになっていた受信処理局は、上の事情で遠距離伝播波形が得られなかったので、前段増巾部の利得を可変にして、乗算積分回路、ピーク値検出、並び換え、半導体記憶素子の各部分について、詳細仕様に基づいて製作した。マイクロプロセッサーを内蔵しているので、短期試験モードと長期係留モードを選ぶことができ、今後の実験でその利用を進めて行く。来年度は、淡青丸航海6月に送信部、受信処理部を係留する音響伝播の再実験を行う。その結果に基づいて必要に応じ、相模湾、駿河湾、および鹿児島湾などでシステムの利用実験を行って機器の最終調整をする。次で、昭和62年1月から49日にわたる白鳳丸航海において、フィリピン海に放流しシステムの最終実験を行う。比較のために、10KHz音響航法装置による追跡も行う。これによって、本試験研究の目的であるソーファーフロートシステムの開発を完成する。