超分子構築体の電子顕微鏡観察用の高分解能低温試料ホルダーの開発
Project/Area Number |
59880020
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Research Category |
Grant-in-Aid for Developmental Scientific Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
生物物性学
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
若林 健之 東京大学, 理, 助教授 (90011717)
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Project Period (FY) |
1984 – 1985
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1985)
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Budget Amount *help |
¥8,200,000 (Direct Cost: ¥8,200,000)
Fiscal Year 1985: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1984: ¥7,000,000 (Direct Cost: ¥7,000,000)
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Keywords | クライオ電子顕微鏡法 / 低温試料ホルダー / 超分子構造 / 凍結水和標本 |
Research Abstract |
生物試料の微細構造をありのままの姿で観察することは、生物学の基本的な目標の一つである。これまで電子顕微鏡法では試料を真空中に持ち込む必要があるため、脱水・乾燥の過程を経ざるを得なかった。しかし-150℃以下では水はガラス状の非晶質であり、しかも真空中で昇華しない。そこでガラス状の氷に包埋された凍結水和標本を低温ホルダー上で観察すれば、脱水・乾燥することなく生の状態の生物試料を観察できる。この方法はクライオ電顕法と呼ばれている。 クライオ電顕法のために最も重要なものは、-150℃以下に温度をコントロールした低温ホルダーと凍結水和標本の作成法である。低温ホルダーは市販されているものもあるが、振動防止が不完全で、良い像が安定して得られなかった。 既に報告したように、我々は、試料傾斜が±50°の範囲で可能な低温試料ホルダーの防震化のため様々な工夫と改良を行い、銅フタロシアニンの12.6Åの縞を直視できるようにした。これは低温ホルダーの振動を12.6Å以下に軽減できたことを意味している。 我々は、更に振動軽減と像の安定化の努力を重ね、現在では銅フタロシアニンから4.2Åの格子に対応する分解能の像を得られるようになった。これは傾斜可能型低温ホルダーとして最も良い分解能である。この高分解能化の成功に伴ない、振動軽減以外にも重要な因子が存在することを知った。試料汚染の問題である。低温では真空中の残留ガス、特に水蒸気など凝固しやすい物質によって試料汚染が生じ、このことによって分解能が劣化する。この対策として試料近傍にコールド・トラップを導入しそれが有効であった。電顕真空の清浄化により更に本格的に試料汚染を防ぎたい。 本研究では分解能4.2Åの低温ステージの開発に成功した。これは目標を越える性能である。今後これを凍結水和標本観察に役立てたい。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)