Project/Area Number |
60010068
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Research Category |
Grant-in-Aid for Cancer Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
白井 俊一 順天堂大学, 医, 教授 (30115860)
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Project Period (FY) |
1985
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1985)
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Budget Amount *help |
¥10,400,000 (Direct Cost: ¥10,400,000)
Fiscal Year 1985: ¥10,400,000 (Direct Cost: ¥10,400,000)
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Keywords | レトロウィルス / HTLV-I / ATL / 免疫異常 / 発癌 / IL-2受容体 / 自己免疫疾患 |
Research Abstract |
レトロウィルス感染リンパ球の遺伝子表現と宿主の免疫異常に関する基礎的研究を本年度は次に挙げる5つの研究計画に基づいて行なった。1)HTLV-1、STLV-1によるT細胞腫瘍化及び免疫異常誘発機構の解析。2)代表的自己免疫疾患である全身性エリテマトーデス(SLE)からの未知レトロウィルスのrescue の試み3)HTLV-1発癌におけるIL-2受容体の役割の検討。4)ATL及び牛レトロウィルス白血病における異常細胞膜糖脂質の解析。5)レトロウィルス構造タンパクに対する宿主免疫応答の遺伝支配の解析。研究成果では、1)レトロウィルスのクローン化プロウィルスDNAをリンパ球にトランスフェクトさせる系がSTLVで成功した。従来HTLV-1ではこれが成功していなかったが、これは protease遺伝子領域に連続したopen frame が存在しなかったためであり、STLVでの今回の成功は今後、HTLV-1グループの分子遺伝学的研究にも役立つ成果である。STLVに関してはこれを保有するアフリカミドリザル中にATL 類似の白血病が発見され、ヒトATLの発癌、免疫異常の研究に有益なモデルとなることが確認された。2)特有の形質をもつSLEリンパ球のHTLV-1トランスホーム株が2系得られたがいまだ新しいレトロウィルスはrescueされていない。3)ATLのIL-2受容体が分子レベル、遺伝子レベルで正常の受容体と変わりないことが証明された。今回B細胞リンパ腫上のIL-2受容体も明らかにされ、ATLとの比較検討がなされている。 4)ATLと牛白血病の細胞膜及び血清中に特異な糖脂質の存在することが明らかになった。現在、両者の類似性、正常組織での発現について研究が進んでいる。5)免疫異常の誘発と密接に関係したマウスレトロウィルス系で、その粒子膜糖タンパクに対する抗体の産生に宿主のH-2遺伝子とT細胞抗原受容体β鎖遺伝子の関与していることが明らかとなり、免疫異常との関連で研究が進んでいる。
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