組織特異的に発現する遺伝子を用いた腫瘍細胞における遺伝子発現機構の発生工学的研究
Project/Area Number |
60010073
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Research Category |
Grant-in-Aid for Cancer Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
岡田 節人 岡崎国立共同研究機構, その他, その他 (70025237)
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Project Period (FY) |
1985
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1985)
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Budget Amount *help |
¥18,000,000 (Direct Cost: ¥18,000,000)
Fiscal Year 1985: ¥18,000,000 (Direct Cost: ¥18,000,000)
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Keywords | 細胞分化 / 形質転換 / キメラ / 奇形腫細胞 / 遺伝子発現 / デルタ-クリスタリン |
Research Abstract |
本研究組織に属する研究者の共同実験によって、形質転換させた胚性奇形腫細胞を用いた発生工学的研究から、腫瘍細胞における組織特異的遺伝子の抑制機構を理解するための重要な成果が得られた。 δ-クリスタリン遺伝子は鳥類に存在するが、哺乳動物にはない。また、この遺伝子は正常な体内ではレンズに限って活ぱつに発現する。この遺伝子の発現をマーカーとして所期の課題を次のように行なった。 (1) マウスの初期胚から樹立された多分化能をもった奇形腫細胞(EK細胞と呼ぶ)に、ニワトリのδ-遺伝子を導入させて形質転換細胞を作った。 (2) この転換細胞は多分化能をもっている。しかし、腫瘍状に未分化で増殖を続けている限りは、δ-遺伝子は発現しない。 (3) 固形腫瘍を作らせて分化を誘導すると、導入したδ-遺伝子は発現を初める。しかし、正常での発現場所である水晶体ではなく、血管内皮細胞、上皮組織細胞、筋繊維など各所で発現がある。つまり、このような条件下での発現は、δ-遺伝子が正常で受けるコントロールから離脱している。 (4) 転換EK細胞をマウス初期胚に移植すると、高率にキメラが発生し、EK細胞は体の各種細胞に分化する。しかし このようなキメらにおいてのδ-遺伝子の発現はレンズに限られる。つまりδ-遺伝子の発現は正しいコントロール下におかれたことになる。 以上の研究結果から、胚性奇形腫細胞の分化において遺伝子発現が正常にコントロールされるのは、正しい発生的時間の経過において、他の組織細胞との正しい相互作用によっていることが判る。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)