抗がん剤の脳腫瘍血管透過性に関する超微形態学的研究
Project/Area Number |
60015076
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Cancer Research
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
柴田 尚武 長崎大学, 医, 助教授 (50039517)
|
Project Period (FY) |
1985
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1985)
|
Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
Fiscal Year 1985: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
|
Keywords | 脳腫瘍血管透過性 / シスプラチン含有リポソーム / 原子吸光法 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
1)ENU経胎盤誘発ラット脳腫瘍血管とヒトグリオーマ血管について超微形態学的に観察し、抗がん剤の脳腫瘍血管透過性に関する研究のモデルとしての有用性を検討した。ヒトグリオブラストーマ5例の超薄切片では、血管内皮細胞の肥厚、pinocytotic vesicle(PV)の増加、short & elongate tight junction(TJ)、irregular basal lamina の出現、peri-vascular spaceの拡大を認め、レプリカではPVは平均23/μ【m^2】に増加し、TJは2〜6条のstrandsを認めた。アストロサイトーマ5例においては、TJは6〜7条のstrandsからなり、PVは30/μ【m^2】と増加していた。一方、ENU経胎盤誘発ラット脳腫瘍の超薄切片では、ヒトグリオーマと同様の所見を示し、レプリカではPVが28/μ【m^2】に増加し、TJは2〜6条のstrandsを認めた。両群の腫瘍血管においてfenestrationは認めなかった。従って両者の脳腫瘍血管の超微形態学的基本構造は類似しており、モデルとして有用であると考えられた。 2)シスプラチン含有りポソームを作製し、ENU経胎盤誘発脳腫瘍ラットの内頚動脈より1ml注入した。原子吸光法にて測定した腫瘍側、非腫瘍側の白金濃度はそれぞれ3.31μg/g,0.82μg/gと腫瘍側は治療域に達しており、血液脳関門を通過できると考えられた。リポソーム注入後1時間で固定した脳腫瘍組織の超薄切片では、in vivoと同じ形態をした多重層リポソームが観察された。リポソームは毛細血管内皮細胞のpinocytotic vesicle内にまず取り込まれて、abluminal側へ移動し、不整なbasal lamiraを貫通して後、脳腫瘍細胞内に進入し、一部は細胞内小器管や核にも認められた。血管内皮細胞間のtight junctionにはりポソームは見られず、junctionは通過しないと考えられた。これらの所見は抗がん剤の腫瘍血管透過の増強法を考える上で重要な所見と考えられた。
|
Report
(1 results)
Research Products
(4 results)