Project/Area Number |
60020023
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Research Category |
Grant-in-Aid for Research in Natural Disasters
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
松田 芳郎 一橋大学, 経研, 教授 (30002976)
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Project Period (FY) |
1985
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1985)
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Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 1985: ¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
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Keywords | 関東大震災 / 資金循環勘定 / 地域経済計算体系 / 所得分布 / 財務諸表 |
Research Abstract |
地震災害の社会的・経済的影響の数量経済史的研究として関東大震災を、(1)被災の学計・企業の救済と復興がモラトリウムでどのように実現したか、その緊急対策としての震災の手形割引でどのように実現したか、その緊急対策としての震災手形でどのように実現したかを、当時の政策と実際に発生した情況を年表と統計データの形で再構成した。(2) そのような臨時的措置がどの様な後遺症を残したかを分析した。その最終的決着は、第二次世界大戦時迄及んだことを明らかにした。(3) その分析過程で、資金循環マトリックスを作成した。 この関東大震災の資金循環マトリックスによって、当時、世評で論じたられた被害規模からみて、各種指標に顕在化したものは、それ程大きくなかったことが明らかになった。問題は、零細金融業者等の手を通じて済れた資金が、個々の被災家庭にとって、どの様な重荷になっていたのかという点にあることが、明らかになった。この点は、所得分布データの整備等構造統計によって今後検討されるべきものである。また、大規模企業の場合には、財務諸者に計上された損失額は、特別減価償却等によって処理されている。この場合もまた、中小規模の企業に及した倒費等の迎響が重要である。 今回の研究結果から得られた知見の一つとして、日本の災害史上数を見ない大災害であるといわれている関東大震災であっても、マクロ経済量の形になって表に出ている被害というのは、大きくない。従って、今後の大規模災害の影響の分析の際には、地域勘定体系でのデータの整備が必要である。旦し現行の地域経済勘定体系は、物的面に伴うデータ整備は可能であるが、資金の循環に即した勘定体系を編成するのは、基礎となる統計調査が、その様な調査容体の単位定義になっていないので、非常に困難である。これ等の点の解決は、行政の対応を含めて今後の課題である。
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