Research Project
Grant-in-Aid for Research in Natural Disasters
1985年3月3日午後7時47分頃(現地時間)、チリ国太平洋岸の二大港の一つ、サンアントニオ港沖約40kmの海底深さ約15kmに震源を持つM=7.7の地震が起こり179名の死者を出した。 地震発生後、自然災害科学特別研究班は、突発災害調査研究費により、東大地震研・伯野元彦を研究代表者とし、東北大、建築学科・柴田明徳,東大新聞研・鈴木裕久を分担者とする3名からなる学術調査団を派遣し、地震の発生機構、建築物、土木構造物、ライフライン施設の被害、地震後市民の心理状態等について調査を行わせた。 その結果以下の事柄が明らかとなった。(1)地震の発生機構等についてa)この地震は、太平洋プレートが南米大陸の下に潜り込む時に生じたものであって、その傾角は約23°であることが、余震分布から認められた。b)各地で強震記録が得られ、太平洋岸の震源域で砂地盤上で600ガル以上、岩盤上で300ガル以下が得られた。 また、内陸部ゑ震源からやや離れていても沖積層上で硬い岩山に囲まれている盆地では600ガル以上の所が数か所あり、地盤の硬さと地形の影響を示していた。(2)構造物被害の特徴建築物は、全体としてアドベが非常に広範囲に壊滅状態であった。また鉄筋コンクリートビルも、ピロティ形式のもの等が大破し、丘の上が大破し、下は無被害という例もあった。 橋梁は、地盤の液状化による橋脚の破壊による落橋が目立った。(3)市民の震後対応アンケート調査によると、日本程地震時に何をすべきかという事が、市民に知られていない。また日本と全く違うのは神に祈るという点。