Project/Area Number |
60030060
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Research Category |
Grant-in-Aid for Environmental Science
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
立川 涼 愛媛大学, 農, 教授 (50036290)
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Project Period (FY) |
1985
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1985)
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Budget Amount *help |
¥14,900,000 (Direct Cost: ¥14,900,000)
Fiscal Year 1985: ¥14,900,000 (Direct Cost: ¥14,900,000)
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Keywords | 長寿命生物 / 環境指標 / 生物濃縮 / 有機塩素化合物 / 微量元素 / メタロチオネイン / 血液 / 硬組織 |
Research Abstract |
各種野生生物(木本・草本植物、鳥類、哺乳動物)による有機塩素化合物および微量元素の生物濃縮過程を明らかにし、環境指標としての長寿命生物の有効性について研究した。成果の概要を以下に示す。 1).植物:亜ヒ酸鉱毒で有名な宮崎県土久呂産のスギ年輪に含まれるヒ素を分析したところ、操業時と思われる年輪に高濃度の残留が認められ、過去のヒ素汚宋を復元する指標生物としてスギが有効であることを見出した。さらにスギ樹皮に含まれる各種元素のマトリックスから、元素の供給源を推定する数式を作成し、多摩川流域のスギに適用したところ、道路交通起源のZnは、上流から下流に向けて増大していることがわかった。 2).鳥類:北洋およびオーストラリア(タスマニア島)で捕獲したハシボソミズナギドリおよび日本の太平洋岸で落鳥した個体について脂肪含量および有機塩素化合物の濃度を測定した。その結果、落鳥個体の脂肪含量は極端に減少しており、高濃度の有機塩素化合物が検出された。こうした傾向は、繁殖期に絶食行動を営む南極のアデリーペンギンでも認められ、有機塩素化合物の毒性を説明するうえで重要な手掛りとなった。 3).哺乳動物:スジイルカ腎臓中のCd,Hg,Zn,Cuなどの重金属の存在形態を各種クロマトグラフィーにより追跡したところ、二種類のメタロチオネインが同定され、重金属類の毒性発現機構あるいは無毒化過程を理解するための有効な知見が得られた。長寿命生物の血液成分や硬組織の元素について集団正常値を調べたところ、海産哺乳動物は陸上高等動物に比べ大きなバラツキを示し、異常個体の多いことが推察された。海産哺乳動物についてPCB汚宋の将来予測を試みた結果、熱帯性の種における汚宋の低減はきわめて遅いことが示唆された。
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