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¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
Fiscal Year 1985: ¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
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Research Abstract |
α-ピロリドンを配位子とする白金の4核錯体【〔Pt_4(NH_3)_8(C_4H_6NO)_4〕^(n+)】(n=4,5,6,8)を合成した。元素分析、単結晶X線解析、磁化率、ESR等の手法により、この錯体は白金-白金結合を持つ鎖状4核錯体であることを確認した。 n=6の錯体は固体では濃赤黒色であるが水溶液は緑色である。これは【〔Pt_4(NH_3)_8(C_4H_6NO)_4〕^(6+)】+2O【H^-】【→!←】2【〔Pt_2(NH_3)_4(C_4H_6NO)_2〕^(2+)】+【O_2】+2【H^+】の反応式にしたがってn=6の錯体が【OH^-】により還元され、それとともに【O_2】が発生するためである。スペクトル的には、λmax=478nmの吸収は時間とともに減少し、λmax=680nmの吸収が増大する。さらに680nmの吸収も数時間後には減少し、最終的には黄色溶液となる。これらの変化は暗所でも徐々に起こるが、それぞれの吸収極大光の照射により促進される。一方n=8の錯体はn=6よりさらに水に対して反応性に富み、【〔Pt_4(NH_3)_8(C_4H_6NO)_4〕^(8+)】+2O【H^-】【→!←】【〔Pt_4(NH_3)_8(C_4H_6NO)_4〕^(6+)】+【O_2】+2【H^+】の反応式にしたがい水を酸化して【O_2】を発生する。このように、本錯体は水の【O_2】への酸化反応に関して有効な光触媒となり得ることがわかった。 一方、n=6の錯体を吸着させた白金電極を用いて9M【H_2】【SO_4】、0.1M K【NO_3】を含む水溶液中でサイクリックボルタンメトリーを行うと0.6V (vs, SCE)付近で大きな触媒的カソード電流が流れ、それとともに電極表面から【O_2】が発生することが見出された。この【O_2】が水由来のものであることは、【H_2】【^(18)O】を用いGC-MSで確認した。これは、電気化学的に電極表面に生成されるPtOH,PtooH等の水酸化物、過酸化物等が、白金錯体と反応し、【O_2】を発生することによると考えられる。 以上のように、化学的及び電気化学的水の酸化反応に対して、本錯体は重要な触媒であることが判明した。
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