Project/Area Number |
60055016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Fusion Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 彬 東京大学, 医科研, 助手 (70012771)
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Project Period (FY) |
1985
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1985)
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Budget Amount *help |
¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1985: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | トリチウム / β線 / RBE / 鉄特性X線 / 細胞核吸収線量 / 換算係数 / マイクロドシメトリ |
Research Abstract |
1.研究目的 トリチウム(T)β線の細胞致死効果の放射線生物学的効果比(RBE)を実験的に決定するためには細胞核内の吸収線量を知らなければならない。倍養細胞にT水を投与した場合でも細胞核内の吸収線量の測定は困難である。細胞の含水率(0.7程度)を換算係数と仮定して吸収線量の推定を行う方法が一般的に行われてきた。本研究はこの換算係数を実験的に測定して正確なRBEを決定することを目的とした。 2.研究方法 細胞核内のTβ線吸収線量を直接測定する代りに、Tβ線(Eβ=5.7KeV)と同じ線質を持つと考えられるソフトX線(Fe特性X線Kα=6.4KeV)による細胞の外部均等照射を行った。Fe特性X線の発学は、東大医科研サイクロトロンからの27MeVα線による荷電粒子励起X線発生(PIEX)法によった。チャイニーズハムスターV79倍養細胞を用いてT水(0.23Gy/分;2〜27Gy)Fe特性X線(1.1Gy/分;2〜10Gy)及びCo-60γ線(0.81Gy/分;4〜22Gy)の照射(室温)を行い通常の条件で細胞倍養後コロニー計数法によって生存率曲線を求めた。 3.結果と考察 Co-60γ線と下水とでは、生存率曲線にほとんど差がみられなかった(Do=2.2Gy)。Fe特性X線では強い致死効果が観察された(Do=1.7Gy)。生存率50〜2%の範囲及びDo比によるF醫特性X線のRBEは、1.3(±0.05)と評価された。一方、T水のみかけのRBEが1.0と観測された理由は、細胞吸収線量換算係数と真のRBE(Fe特性X線と同じで1.3と考える)の績が1.0であることを意味している。よって、V79細胞の換算係数は、0.77と評価できる。この結果をBed ford et alの報告(Red,Res,63,531,1975)と比較すると、Tβ線のDoが1.7Gyおよび換算係数推定値0.77と一致する結果が得られた。 4.結論 T水による細胞内部不均等照射とFe特性X線による均等外部照射との比較によって、V79倍養細胞の細胞核吸収線量換算係数(0.77)及びCo-60γ線に対するRBE(1.3)を実験的に決定することができた。
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