Project/Area Number |
60123008
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Special Project Research
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
西塚 泰美 神戸大学, 医, 教授 (10025546)
|
Project Period (FY) |
1985
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1985)
|
Budget Amount *help |
¥31,400,000 (Direct Cost: ¥31,400,000)
Fiscal Year 1985: ¥31,400,000 (Direct Cost: ¥31,400,000)
|
Keywords | カルシウム / レセプター / ジアシルグリセロール / イノシトールリン脂質 |
Research Abstract |
カルシウムイオンは種々の細胞機能の活性化や細胞分裂に際して重要な細胞内メディエーターとして働いている。本特定研究は細胞情報の増幅伝達系において決定的な役割を果たしているカルシウムイオンの作用に焦点をあて、その細胞内の動態と多彩な細胞機能の調節に果たす作用機構の解明を目的として本年度より研究を開始し以下の成果をおさめた。即ち、カルシウムイオンがメディエーターとして作用する受容機構においてはイノシトールリン脂質がホスホリパーゼCにより加水分解をうけるが、このホスホリパーゼCには生理的濃度のカルシウムイオンの存在下で活性を示すものと、高濃度のカルシウムイオンを必要とする2種類が存在することが明らかとなった。この2種類のホスホリパーゼCの意義については明らかではないが、GTP結合性蛋白質がホスホリパーゼCの活性を調節しているという報告もあり、今後の検討を要する課題といえる。また、このイノシトールリン脂質の分解産物であるジアシルグリセロールがプロテインキナーゼCを活性化するが、ジアシルグリセロールのうちこのプロテインキナーゼCを活性化するのは1.2-sn-ジアシルグリセロールであり、その立体異性体である2.3-sn-体や、1.3-体は無効であることが明らかとなった。一方、このプロテインキナーゼCに対するモノクロナル抗体の作製に成功し、現在、免疫組織化学的方法により各種の細胞におけるプロテインキナーゼCの細胞内分布を検討中である。従って、このカルシウムイオンを介する受容機構における主要な酵素についての物質的基盤が明らかとなり、今後のカルシウムイオンと細胞機能に関する研究の基本的条件がととのった。また特定研究として研究者間の密接な連絡をはかるため、ニュースの発行(2回)、班会議(2回)と公開シンポジウムを開催した。次年度以降は、本年度の成果に基づき本研究領域の独創性の維持と本研究の強力な推進を目指す。
|