Project/Area Number |
60212004
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Special Project Research
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤村 忠雄 東北大学, 計測研, 教授 (90006130)
|
Project Period (FY) |
1985
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1985)
|
Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 1985: ¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
|
Keywords | 超音波 / 四重極モーメント / 高密度近藤物質 / 価数揺動超音波スペクトロスコピー / 音響的ドハース=ファンアルフェン効果 |
Research Abstract |
われわれのおこなっている超音波スペクトロスコピーとは、超音波の音速と吸収係数を測定し、物質中の電子やイオンのさまざまな励起状態を知る実験手段である。藤村研究室では、過去数年にわたり、位相比較法に基づいた超音波精密測定装置の開発研究をおこなってきた。超音波を物性研究に応用するには、温度および磁場依存性の測定が極めて重要である。本研究では、低温(1.4K),磁場(8テスラ)中での、計算機を利用した超音波完全自動測定装置を完成させた。その結果、音速の相対分解能は【10^(-7)】まで向上し、音速測定による音響的ドハース=ファンアルフェン効果の観測に成功するなど新しい飛躍をもたらした。さらに、【^3He】-【^4He】希釈冷機を利用した極低温領域(100mk)での超音波実験装置の建設への予備的な研究をおこない、次年度(61年度)に完成させる目途をつけることができた。 超音波を物性研究に利用する場合、これまでは主として吸収係数の測定に重点がおかれ、音速すなわち弾性定数の精密測定から、物質中の微視的な情報を得ようとする研究は確立されていなかった。超音波と固体中の電子やイオンとの相互作用の本質は、電子やイオンの量子状態のもっている電気的四重極モーメントと超音波によって誘起された弾性歪との結合にある。このような四重極二歪相互作用を、具体的な物質に即した超音波実験により明らかにする研究も、重要な研究課題であり、次のような成果があった。 1.高密度近藤物質(Ce【B_6】,Ce【Cu_6】),価数揺動物質(Sm【B_6】,【Sm_3】【Se_4】)の特異な4f電子状態が弾性的性質におよぼす影響について、実験的研究をおこなった。 2.La【B_6】,Ce【Sn_3】などの弾性的量子振動の観測にも成功し、ランダウ準位と弾性歪との相互作用の微視的起源を明らかにした。
|