Project/Area Number |
60213001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Project Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴村 順三 東北大学, 理, 助手 (90108449)
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Project Period (FY) |
1985
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1985)
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Budget Amount *help |
¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 1985: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Keywords | 擬一次元 / 位相 / 不純物 / 局在 / 超伝導 / モンテカルロ |
Research Abstract |
擬一次元系と考えられるTa【Se_3】は超伝導相転移温度直下で電気抵抗に異常なピークが見られる。これは超伝導体が低次元の場合に期待される不純物による局在状態であると考えられる。本研究では低次元電子系における局在を位相変数を用いて理論的に研究した。 局在は不純物により電荷密度の位相がピンどめされる状態である事を示すため、一次元の拡張されたハバード模型を具体的な例として調べ、超伝導状態であっても電子間相互作用が弱い場合はピンどめされる事を明らかにしたり。擬一次元超伝導体における不純物効果については、このピンどめと鎖間電荷移動の競合が大きな影響を与える。そこでまず不純物のない場合について鎖間電荷移動の働きを摂動論を用いて調べた。この系で超伝導が実現する条件は個々の電子の移動よりBCS電子対による移動の方が大きくなる事である事を明らかにした。これを日本物理学会(千葉大)で出張し発表した。この他にさらに「新超伝導物質」の研究会に出席し(東京)擬一次元超伝導体の現状を調べた。超伝導と局在の競合を上述の実験について調べるには従来の弱いピンどめの理論では不十分なのでこれを発展させて量子モンテカルロ法による数値計算を行った。この際経路積分法に基づいたモンテカルロ法において超伝導の位相を電荷密度の位相変数を用いて記述する方法を導入したのは本研究が最初である。ピンどめされる特徴的な長さが含まれるように一次元的格子の数をとり量子的揺らぎが十分取り入れられるようにドロッター軸の数を選び次のような結果を得た。ここで取り扱っている系では量子的揺らぎが大きいため空間のある領域で不純物により弱くピンされる場所が存在し、ここでは電荷密度の揺らぎが増大しこれと相補的な超伝導状態が出現する。このようにして上述の実験の重要な問題点であった不純物による局所的な構造の原因を明らかにした。
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