細胞内収縮性蛋白質の機能発現に関する生化学的・形態学的研究
Project/Area Number |
60214021
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Project Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
市川 康夫 京都大学, 結核研, 教授 (80027309)
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Project Period (FY) |
1985
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1985)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1985: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 細胞分化 / 細胞運動 / 細胞骨格 / 【K^+】イオン濃度 / 細胞質のゲル化 |
Research Abstract |
マウス骨髓性白血病M1株細胞を再分化させると、マクロファージ株細胞となって貧食・運動能を示すようになる。この際、アイチン繊維による細胞質ゲル化が重要な役割を果しており、ゲル化因子として2種の蛋白質が精製されたことを昨年報告した。この中、(38K×2)ホモダイマー蛋白質(以下38K蛋白と略称)について研究が深められた。 精製38K蛋白に対する特異抗体が得られたので、これを用いたimmunoblotting法により、分化前後のM1細胞中の38K蛋白の量的変化ならびに細胞骨格への組込まれ方についてしらべられた。分化誘導に伴って、細胞当りの總蛋白量は約2倍となるが、38K蛋白は約9倍に増加する。また、生理的濃度のKCl存在下にTvitonX-100処理で細胞骨格を抽出すると、未分化M1細胞の場合は、殆んどの38K蛋白は可溶化されて細胞骨格から離れ去っているのに反して、分化後のM1細胞中の38K蛋白の殆んどが細胞骨格中に残っていることがわかった。即ち、分化の過程で、38K蛋白を細胞骨格に結合させる物質が新たにつくられたのか、あるいは38K蛋白自身の性質が変ったのか、いずれかと考えられる。後者の可能性を示唆する現象として、(1)38K蛋白のアクチン結合能の【K^+】感受性が分化前後で変ること(昨年報告)と、(2)38K蛋白のリン酸化の程度の変化がある。未分化M1細胞中の38K蛋白のチロジンおよびセリンはリン酸化されているが、分化に伴い、特にチロジンのリン酸化が著明に減少していることがわかった。 38K蛋白の【K^+】感受性に関連して、分化前後のM1細胞内の【K^+】濃度の変化をしらべた。その結果、分化前には他の細胞と同様140mM前後あった【K^+】濃度が、分化後は70〜80mMに低下することが繰返し証明された。但し、ウワバインなどで細胞内【K^+】を下げても分化は誘導されない。つまり、M1細胞の分化に伴って、38K蛋白は増量し、【K^+】感受性が鈍くなり、更に細胞内【K^+】濃度が低下し、その活動を支援している。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)