運動ニューロンの発生過程における細胞系統と膜特性の分化の解析
Project/Area Number |
60217002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Project Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
島津 浩 東京大学, 医, 教授 (80009901)
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Project Period (FY) |
1985
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1985)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1985: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / 運動ニューロン / 外肛門括約筋 / オヌーフ核 / 分化 |
Research Abstract |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)において、全身の骨格筋の萎縮とそれを支配する運動ニューロンの消失がみられるにもかかわらず、同じ横紋筋である外肛門及び外尿道括約筋機能は末期まで障害されない。昨年度の報告において、括約筋を支配するオヌーフ核運動ニューロンの膜特性を解析した結果、この運動ニューロンは骨格筋の運動ニューロンに比べて未分化であることを示唆した。本年度は、運動ニューロンの分化発生過程を研究している経過において、運動ニューロンによって支配されている筋線維にも種々の発達段階のものがあることが注目された。そこでオヌーフ核運動ニューロンによって支配される括約筋の組織化学的性質を精しく調べ、骨格筋のそれと比較検討した。その結果、外肛門括約筋には、骨格筋に通常見出される【I】型(slow)及び【II】型(fast)がみられたが、これとは異る型の筋線維(【III】型と呼ぶ)が見出された。この【III】型筋線維はアルカリ前処理あるいは酸性前処理後の両方においてATPase活性がみられ、外肛門括約筋に特徴的なものであった。この【III】型筋線維のATPase活性と同様の性質を示す筋線維は、ラットのヒラメ筋の分化過程の途中で出現するが、成長に伴って【I】型に移行すると考えられている。上記の結果は、オヌーフ核運動ニューロンの一部には、成熟した後においても分化の途中の型、すなわち未分化型のものがあることを示している。さらに、HRP細胞内注入法を用いて、オヌーフ核運動ニューロンの形態解析をおこなった結果、細胞体の直径、樹状突起起始部の直径、樹状突起の表面積及び体積は、後肢アルファ運動ニューロンのそれに比べて小さく、発達の程度がわるいことが示唆された。以上、昨年度報告した運動ニューロン膜の異常整流作用の他に、括約筋の組織化学的性質及びニューロンの形態のいずれについても、オヌーフ核運動ニューロンは骨格筋のそれに比べて未分化型のものであることが裏づけられた。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)