腫瘍間質とくに腫瘍血管の機能的特性を利用した化学療法の基礎的・臨床的研究
Project/Area Number |
60218003
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Special Project Research
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 磨郎 東北大学, 抗酸研, 助教授 (90006081)
|
Project Period (FY) |
1985
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1985)
|
Budget Amount *help |
¥9,500,000 (Direct Cost: ¥9,500,000)
Fiscal Year 1985: ¥9,500,000 (Direct Cost: ¥9,500,000)
|
Keywords | 腫瘍血管の機能特性 / ラット透明窓法 / ドウノマイシン組織内濃度 / ダイナミックCT / 腫瘍血管内圧 / 腫瘍組織圧 / 水力学的圧差 / AT【II】昇圧化学療法 |
Research Abstract |
アンギオテンシン【II】(AT【II】)に対する腫瘍血管の特異な反応は腫瘍血管の機能的特性を事実上はじめて明らかにしたものであるが同時にこれまで不可能であった全身投与制癌剤、診断用トレーサーの腫瘍組織選択的増量を可能にし、癌化学療法、画像診断法の飛躍的向上に合理的なアプローチを与えた。これが本研究の骨子であるが、本年度はこれを基礎的に確立し、臨床的な意義を一層追求した。即ち、蛍光顕微鏡下に超高感度テレビカメラを用いてラット皮膚透明窓内の腫瘍組織血流量とドウノマイシンの組織分布の相関をAT【II】の影響を含めて検討した。同一動物の同一組織を経時的に記録しコンピューター処理によって厳密に比較した。これによりAT【II】による腫瘍組織血流増加に伴う腫瘍内ドウノマイシン濃度の増加が確認された。同様の所見は臨床においてもダイナミックCTでのCT値上昇として確認された。一方、正常皮下組織では血流量の低下に伴う制癌剤濃度の低下が認められた。このような所見は制癌剤に限らずFITCデキストランでも認められ、AT【II】により腫瘍組織特異的濃度上昇が認められた。また、血中濃度低下後に血流亢進が続いていると組織からの制癌剤の洗い出しによる組織内濃度が低下すると考えられるが、これは血圧低下による血流減少の結果防止し得ることが示唆され、更に詳細に検討している。AT【II】による腫瘍血流上昇は腫瘍血管圧を上昇させ、組織圧も上昇させるが、その水力学的圧差が拡大するために制癌剤の血管外への駆出力となっていることが支持された。臨床的にはAT【II】昇圧化学療法により胃癌28例、膵癌13例の奏効率はそれぞれ42.8%,46.2%と著明な効果がみられただけでなく、原発巣51.7%に対し転移巣81.3%とAT【II】によるリンパ流増量という基礎的実験成績を裏付ける結果が出された。組織学的評価でも新知見が得られた。以上腫瘍血管の機能特性とこれに基いた昇圧癌化学療法の基礎的臨床的解析が一層深められた。
|
Report
(1 results)
Research Products
(5 results)