HTLVの母児間伝達(母乳を中心として):疫学的および実験ウイルス学的研究
Project/Area Number |
60218027
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Project Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
日野 茂男 長崎大学, 医, 助教授 (70012763)
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Project Period (FY) |
1985
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1985)
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Budget Amount *help |
¥6,000,000 (Direct Cost: ¥6,000,000)
Fiscal Year 1985: ¥6,000,000 (Direct Cost: ¥6,000,000)
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Keywords | 成人T細胞白血病 / ATLL / レトロウイルス / HTLV-【I】 / 母児感染 / 母乳感染 / マーモセット / 経口感染 |
Research Abstract |
成人T細胞白血病リンパ腫(ATLL)は九州に多発するが、その原因は病原ウイルス(HTLV-【I】)の地域内流行による。HTLV-【I】の地域内流行を維持する感染経路の解明とその断絶を目的として、母児感染の有無、感染時期と経路を把握するため、長崎市周辺の妊婦のスクリーニングおよびキャリア母が出産した児の調査を行った。 キャリア妊婦の出現率は約4%で、その児のキャリア出現率は約20%であった。長崎市周辺における未成年者のキャリア出現率は約1%であり、キャリア母の児がこの地域のキャリア児の大部分を占める計計となった。さらに、未成年キャリアから母親を逆行性に調査したところ、12/13(92%)の母親はキャリアであった。これらは母児感染が地域内流行の主役であることを示す。キャリア母の出産した児の臍帯血の調査ではほぼ全例にIgG移行抗体を検出してが、子宮内感染を示すHTLV-【I】保有細胞やIgM抗体を梓明できたものは皆無であった。これら児には生後12月以上で抗体陽転者が出現し、生後感染が疑われた。 HTLV-【I】感染の主役が細胞間接触感染であることより、生後発生する生細胞移入の主役として母乳を疑った。キャリア母の母乳中のHTLV-【I】保有細胞は【10^3】細胞1ml程度であったので、離乳前に移入されるHTLV-【I】保有細胞は【10^8】程度と計算された。3匹の成獣コモンマーモセットに、短期間培養により抗原陽性となったATLL患者末梢Tリンパ球またはキャリア母より得た新鮮母乳細胞を経口投与したところ、初回投与より2.5月後に抗体は陽転し(2/3)、抗原保有細胞も検出され、感染の成立を認めた。投与したHTLV-【I】保有細胞数の推定値はそれぞれ 6×【10^7】,7×【10^5】であった。 これらの事実から、HTLV-【I】の地域内流行の主役は母児感染で、その経路であることが強く示唆された。現在キャリア母の授乳停止による介入試験を開始したが、その結果を得るには2年間を要する。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)