Project/Area Number |
60218031
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Project Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
井村 伸正 北里大学, 薬, 教授 (70012606)
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Project Period (FY) |
1985
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1985)
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Budget Amount *help |
¥3,800,000 (Direct Cost: ¥3,800,000)
Fiscal Year 1985: ¥3,800,000 (Direct Cost: ¥3,800,000)
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Keywords | シスプラチン / アドリアマイシン / セレン / ビスマス / メタロチオネイン / 副作用軽減 |
Research Abstract |
強力な制癌効果と広い抗がんスペクトルを有するシスプラチンなど重金属含有制癌剤の副作用軽減法について昨年度に引き続き検討し、以下の知見を得た。 1.亜セレン酸によるシスプラチンの副作用軽減:大量1回投与されたシスプラチンの致死及び腎毒性を顕著に軽減することが昨年度判明した亜セレン酸を用いて、大量のシスプラチンを反復投与した際の併用効果を検討した。その結果、亜セレン酸の併用がシスプラチンの腎毒性のみならず肝、骨髄毒性をも著しく軽減することが明らかとなった。またP388白血病細胞(i.p.)またはコロン38結腸癌細胞(s.c.)を移植したマウスにシスプラチンを毎週1回投与したところ、シスプラチン単独(15〜25μmol/kg)では延命効果は認められたものの全てのマウスが初回投与の40〜80日後までに癌またはシスプラチンの毒性により死亡したが、亜セレン酸の併用によってシスプラチンの大量長期投与が可能となり、25μmol/kgのシスプラチン投与群では全てのマウスで癌の完治が認められ、これらのマウスはシスプラチン投与中止後も180日以上生存した。 2.次硝酸ビスマスによるシスプラチンの副作用軽減:昨年度、シスプラチンの致死毒性がメタロチオネイン合成誘導能を有するビスマス化合物の前投与によって完全に抑制されることが判明したので、今年度は現在他の用途に医薬品として用いられている次硝酸ビスマスの効果を検討した。その結果、人間での常用量程度の次硝酸ビスマス前投与(経口)によってシスプラチンの致死毒性が完全に抑制された。またシスプラチンと併用されることの多い制癌剤アドリアマイシンの致死、心臓及び骨髄毒性も次硝酸ビスマス前投与によって顕著に軽減されることが明らかとなった。次硝酸ビスマスはこれらの薬物の制癌効果には全く影響を与えないことも確められたことから、直ちに臨床での利用が可能と考えられる。
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