Budget Amount *help |
¥13,700,000 (Direct Cost: ¥13,700,000)
Fiscal Year 1987: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 1986: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1985: ¥12,500,000 (Direct Cost: ¥12,500,000)
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Research Abstract |
慢性肝疾患, とくに肝硬変においては, 窒素出納が負に傾いているが, この理由は主として窒素代謝機能の障害によるものである. 対照並びに肝硬変患者に, ^<15>Nグリシンを経口投与し, 尿中尿素, アンモニア中の^<15>Nを測定し, 全身蛋白流量(Q), 全身蛋白分解量(B)を算出した. 対照例では, 蛋白摂取量に比例してQは2〜4g/LBMkg/日を変動するが, 肝硬変患者, とくに非代償性肝硬変患者では, 低蛋白栄養条件下にもかかわらずQは4g程度に上昇した. また対照例では, Bは2.0g/LBMkg/日にほぼ一定していたが, 非代償性肝硬変では, 3g程度に上昇した. 以上の成績から, 重症肝疾患では, 全身蛋白の代謝回転とくに蛋白分解量が亢進しており, その結果窒素出納が負に傾いているものと推定された. 肝硬変患者における全身蛋白の代謝回転の亢進は, 主として筋肉蛋白の代謝異常によるものと考えられる. 肝硬変患者では血漿遊離アミノ酸のうち, 分枝鎖アミノ酸濃度が低下しており, 尿中メチルヒスチジン排泄量が増加している. この所見は, 筋肉のエネルギー代謝の異常により, 筋肉蛋白の分解が亢進していることを示唆している. この理由としては, まず肝疾患における内分泌異常が考えられる. 事実肝硬変患者では高グルカゴン, 高インスリン血症がみられるので, アミノ酸代謝が亢進する可能性が考えられる. しかしこれらの内分泌異常が筋肉蛋白の分解を亢進させる可能性は少ない. そこで, 筋肉蛋白代謝異常と低アンドロジェン状態との関連を検討した. その結果, 血漿分枝鎖アミノ酸濃度は血漿テストステロン量と関連し, 尿中メチルヒスチジン排泄量はテストステロン, エストロジェン比と負の相関を示した. 以上の成績から, 重症肝疾患にみられる全身蛋白代謝の異常亢進の理由の一つに, 性腺機能異常が関与する可能性が示唆された.
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