Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿河 雄二郎 大阪外国語大学, 外国語学部, 助教授 (80030188)
井上 進 京都大学, 人文科学研究所, 助手 (40168448)
藤井 譲治 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (40093306)
横山 俊夫 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (40027553)
梅原 郁 京都大学, 人文科学研究所, 教授 (00027541)
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Budget Amount *help |
¥5,700,000 (Direct Cost: ¥5,700,000)
Fiscal Year 1987: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
Fiscal Year 1986: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1985: ¥4,300,000 (Direct Cost: ¥4,300,000)
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Research Abstract |
今年度は, 近世国家の諸相について, 研究分担者各自が, オリジナルな報告をし, 新たな視角から近世国家像を提示しようとした. この共同研究は, 主としてヨーロッパ近世を対象としながら, 日本や中国と比較することによって, とくに比較史的視点を強調してきた. その結果として今年度, 我々は次のような諸テーマについて, 比較史的な視点からの近世国家研究を深めることができたといえる. まず第一に, 近世国家における財政構造を中心にした国家の制度的な側面にかんする具体的な機構の考察である. とりわけ, 官僚制と徴税機構の問題が, フランスと中国の近世国家について, 具体的な地域的・人的な研究から明らかにされた. それにより, 国王, 皇帝を頂点として, 地域的な末端官僚組織へ到る近世国家の制度的機構の一端が明らかになった. また同時に, 日本の幕藩制期における官位・官職の実体的および象徴的意味が論じられ, 近世国家における官職・官僚のあり方にいっそうの光があてられたといえる. 第二の主なテーマとして, 近世国家を理念的に統合していた王権の問題がクローズアップされた. 国家を象徴的次元で支えるものとしての王権に要請されるさまざまな職務が考察の対象とされたが, さらに王権についての規範の集成である「君主鑑」も分折の対象となった. また, 王権のもつ機能のヨーロッパと日本における相違, 日本の天皇制権力の特殊な性格も, 議論の対象となっている. 第三の主なテーマとして, 国家内国家ードイツにおける帝国と領邦, イギリス帝国主義における本国と植民地のようなケースーの問題も扱われた. 王権の問題にしろ国家内国家の問題にしろ, そこでとくに重要なのは, 国家的統合の契機とは何かという国家の根幹にかかわる問題であった. 以上のような視角にもとづきながら, 現在, 研究分担者各自が, それぞれの領域・問題関心によって, 最終的な研究報告をとりまとめつつある段階である.
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