Project/Area Number |
61035038
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Research Category |
Grant-in-Aid for Environmental Science
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
西村 淳 京工繊大, 工芸学部, 助教授 (10107352)
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Project Period (FY) |
1986
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1986)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 1986: ¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
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Keywords | 重金属 / 溶媒抽出 / キレート化剤 / 2+2光環化反応 / シクロファン / アントラニル酸 |
Research Abstract |
本年度は、1.大員環シクロファン合成のための2+2光環化付加反応の開発と、2.これに導入すべき官能基の検討の一環としてアントラニル酸類を合成し、その溶媒抽出剤あるいはキレート化剤としての性質の研究をした。 (1)スチレン残基を2個有するマクロマーを調製し、ベンゼン中ハイレックスフィルターを通して光照射したところ、収率は9%と低いが、シクロブタン環を持つ大員環シクロファンを得た。この2+2光環化付加反応は、小環系シクロファン類の合成に非常に有効であることが分かった。派生的ではあるがこのように新しいシクロファン合成法が開発できた。 (2)市販のアントラニル酸類の検討から、3-アルキル体は重金属との錯形成能が低いが、その他のアルキル体は錯体形成能力が充分高いことが分かっている。そこでアントラニル酸誘導体として、2-アミノ-6-アルキル安息香酸 2-アミノ-5-アルキル安息香酸を検討した。すなわち5-ないし6-位にアルキル基を導入して、水相ないしは界面で形成される錯体の有機溶媒への溶解度の向上を図った上でその性質の検討を計画した。 6-アルキル体(ヘキサデシル,ドデシル,オクチル基置換の3種)は、フタルイミド類のHofmann転位では合成出来ず、Schmidt反応によって初めて調製可能であった。これを用いた溶媒抽出を種々試みたが、水へのこの試薬の分配がほとんどなく、界面でも重金属イオンとキレートを作らないことが明らかとなった。これは親水性基の極く近傍に疎水性基があるためと考えられる。一方5-アルキル体として、ブチル,イソブチル,オクチル基置換の3種を合成した。これらは水にほとんど溶けず、またアルキル鎖が充分に長くないためか有機溶媒にも不溶のキレートを作った。そのため溶媒抽出剤としては使えないが、重金属捕促用の材料としては充分な機能を持っていることが初めて明らかとなった。
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