芳香族大環状配位子の合成とその錯体の酸素還元触媒としての利用
Project/Area Number |
61211012
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Project Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
小川 昭二郎 お茶大, 家政学部, 助教授 (20013196)
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Project Period (FY) |
1985 – 1986
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1986)
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Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 1986: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Keywords | 大環状化合物 / 燃料電池 / 酸素還元触媒 / 1,10-フェナントロリン / 2,2′-ビピリジン / アザクラウンエーテル |
Research Abstract |
含窒素炭素資源として天然に豊富に存在するピリジンを含む共役系大環状化合物の利用を検討してきたが、前年度までに1,10-フェナントロリン2分子が窒素2原子で結合したヘキサアザ大環状化合物の金属錯体が燃料電池のカソード電極用酸素還元触媒として有望であることを見出し、特にFe錯体,次いでCo錯体が高い触媒活性を示すことがわかった。今年度は配位子の影響を調べるために、ブリッジ窒素を炭素及び硫黄に変えることによる性質の変化を検討し、いくつかの興味ある知見を得た。まず2,9-ジクロロ-1,10-フェナントロリンをNaH存在下でシアノアセトアミドと反応させ、一段階で1,10-フェナントロリン2分子を含むテトラアザ大環状化合物を得、これがヘキサアザ化合物に比べ約50nm長波長シフトすること、即ち、π電子の非局在化が増すことがわかった。これのFe及びCo錯体を作り、回転ディスク電極により酸素還元能の評価を行ったところ、ヘキサアザ大環状化合物と異り、Co錯体がFe錯体より高い電流値を示した。しかし、反応電子数を求めたところ、Co錯体では2電子還元、Fe錯体では4電子還元と考えられ、触媒としてFe錯体が有効であることがわかった。更に、6,6′-ジブロモ-2,2′-ビピリジンとシアノアセトアミドとの同様の反応で、2,2′-ビピリジンを含む大環状化合物を得、ブリッジをアルキル化したところ、シス体とトランス体の2種類の大環状化合物を得た。いずれも【Li^+】と安定な錯体を作り、特にシス体で錯安定度定数が【Li^+】錯体で2.0×【10^6】,【Na^+】錯体で4.0×【10^2】となり、【Li^+】に対し極めて選択性が高いことがわかった。更に現在、2-クロロ-9-メルカプト-1,10-フェナントロリンを合成し、この2分子環化によりSをブリッジとする1,10-フェナントロリンを含む大環状化合物を得た。いくつかの金属錯体を得ることが出来たが、低次元導電体としての性質が期待される。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)