Project/Area Number |
61212003
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Project Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 紘一 東大, 国立大学(その他), 助手 (70108637)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 好正 東京大学, 物性研究所, 教授 (10080467)
大塚 昭夫 東京大学, 教養学部, 助手 (30134414)
小牧 研一郎 東京大学, 教養学部, 助教授 (40012447)
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Project Period (FY) |
1986
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1986)
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Budget Amount *help |
¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
Fiscal Year 1986: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Keywords | 水素の定量 / 核反応【^1H】(【^(15)N】,αγ)【^(12)C】 / 結晶表面 / H / W(001) / 水素の吸着脱離過程 |
Research Abstract |
タングステン(001)結晶表面に吸着している水素【^1H】、即ちH/W(001)の付着濃度を求めるため、6.385MeVに共鳴エネルギーを持つ(共鳴エネルギー幅は1.8keV)、【^1H】(【^(15)N】,αγ)【^(12)C】核反応を用い、その定量的測定を行った。本年度配分された科学研究費はイオン電流の増加と安定化の目的で、主にイオン源の整備を行った。先ずこの方法により検出可能な水素の付着濃度の最小限界を求めた。50mm径×50mm【Bi_4】【Ge_3】【O_(12)】(BGO)検出器を使用し、平均的な【^(15)N】イオン電流値15nP.Aの場合における検出限界の値は51分の1原子層、即ち4×【10^(13)】H/【cm^2】になった。この時の検出効率は約1.7%であった。次に【^(15)N】イオンの衝撃突により励起されるH原子の脱離過程において、その断面積を求めた。H原子を被覆率【θ_(rel)】=0.53から【θ_(re1)】=0.3に吸着量が減少する過程の脱離断面積は、2.4×【10^(-16)】【cm^2】であった。【θ_(rel)】≦0.3における脱離断面積の値は1.8×【10^(-16)】【cm^2】であった。これはらビームの強度分布を考慮した解析から得られた結果である。これはH原子の付着確率を求める際、水素の吸着速度を知る上で必要となる量である。次に結晶表面の温度が50℃以下の状態で、W(001)に対する水素の付着確率sを求めた。【H_2】ガスの導入圧力が4.5×【10^(-9)】Torrと、4.5×【10^(-9)】Torrで測定を行った結果、両圧力で良い一致が得られた。0≦【θ_(rel)】≦0.56の被覆率の範囲で、 s(【θ_(rel)】)=0.69(1-1.6【θ_(rel)】)と結論出来る。更に、【^1H】(【^(15)N】,αγ)【^(12)C】核反応の共鳴エネルギー幅の測定の結果、9.3keVを得た。この値は現在までに報告されている測定値の中で最も狭い値である。これより、ビームの入射方向である、結晶表面に垂直な方向のH原子の振動モードにおける零点エネルギーが得られた。結果は80±16meVであった。これより、核反応法を用いることで、H原子の付着濃度の測定のみならず、格子振動モードの知見が同時に得られる見通しを示すことが出来た。
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