化学受容細胞における感度調節及び伝達物質放出に対するカルシウムイオンの特異的役割
Project/Area Number |
61215001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Project Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
栗原 堅三 北海道大学, 薬学部, 教授 (00016114)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柏柳 誠 北海道大学, 薬学部, 教務職員 (20169436)
松岡 一郎 北海道大学, 薬学部, 助手 (40157269)
三宅 教尚 北海道大学, 薬学部, 助教授 (30133771)
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Project Period (FY) |
1986
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1986)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1986: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | カルシウム / 味覚器 / 脱感作 / 苦味物質 / バリウム / カルシウムチャネルブロッカー / 感覚のなれ |
Research Abstract |
味覚器に刺激物質を与えると、刺激直後に大きな味応答が現われ、応答は時間とともに減衰する。このような応答の減衰は、感覚のなれまたは脱感作と呼ばれている。この脱感作過程は、感覚応答においては極めて重要な過程であるがその機構は不明であった。本研究において、カエルの味覚器を用いて脱感作過程におけるカルシウムイオンの役割を調べた。カエルの味覚器では各種の苦味物質を与えると刺激直後に大きな応答が現われ、すぐに脱感作が起こり、刺激物質を与えつづけているにもかかわらず応答が消失してしまう。カエルの舌をカルシウムを含むリンガー液に浸してから苦味物質を与えると脱感作過程は抑制され、応答は著しく持続的になる。このような現象は、用いた全ての苦味物質(テオフィリン,パパベリン,カフェイン,ストリキニーネ,ロイシン,キニーネ)でみられたが、苦味物質以外ではみられなかった。また応答の持続化は、マグネシウムイオン等の他のイオンではみられなかった。すなわち、苦味物質の応答持続化は、カルシウムイオンの特異的作用によることがわかった。また、応答の持続化は、カドミウムイオンやニフェジピン等のカルシウムチャネルブロッカー存在下でも起こることから、カルシウムイオンが味細胞内に透過して起こるのではないことがわかった。カルシウムイオンが味受容膜に吸着し、受容サイトにコンホメーション変化を起こし、この結果苦味物質によって引き起こされる脱分極状態を安定化するものと推測した。 またカルシウムイオンと類似の性質をもつと言われるバリウムイオンの味応答に対する効果を調べた。この結果、カエルの舌をバリウムイオンを含む溶液に浸しておくと、各種の味物質に対する応答が著しく増大することがわかった。このようなバリウムイオンの応答増大効果は、カルシウムチャネルブロッカーで抑制されなかった。
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Report
(1 results)
Research Products
(6 results)