Project/Area Number |
61223016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Project Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小田 雅司 阪大, 理学部, 教授 (60004438)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡田 恵次 大阪大学, 理学部, 助手 (50152301)
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Project Period (FY) |
1986
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1986)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1986: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | ジアステレオ選択的光異性平衡反応 / 分子内エネルギー移動 / 光学活性捕助基 / 温度効果 / 濃度効果 |
Research Abstract |
期待される色々な光不斉誘導反応のうち、ラセミ体を一方のエナンチオマーに誘導する反応は生物のタンパク質がなぜL型アミノ酸より構成されているかという問題とも関連して興味ある課題である。今年度は、光平衡反応系における不斉誘導の諸条件を明らかにするために、モデル化合物として、スピロシクロプロパンフルオレンカルボン酸誘導体のジアステレオ選択的光異性平衡反応(【1!_】【→!←】【2!_】)を選び詳細に検討した。 その結果次のような興味ある結果ならびに結論が得られた。 1.光平衡定常状態における選択性は、光学活性捕助基(R)中にフェニル基をもつ場合は低いが1-ナフチル基をもつ場合はかなり高い選択性を示す。2.この選択性は分子間増感剤の影響も受け増感剤の三重項エネルギーが小さい程高い選択性を示す(例:アセトフェノン(【E_T】=7)3.7kcal/mol:1e/2e=81:19:p-フェニルアセトフェノン(【E_T】=61.1):1e/2e=94:6)。3.1と2の結果はナフチル基からフルオレン部への分子内エネルギー移動の重要性を示唆しており、このことは選択的励起が可能なフェナントリル誘導体(【1!_】,【2!_】【f_1】〜【f_3】)におけるフェナントリル基の励起状態の寿命がジアステレオマーにより顕著に異なることから立証された。4.すなわち、ジアステレオマーにより光感受性が違い、光平衡は感受性の低いジアステレオマーの方に移動する。5.またこの光不斉誘導反応は温度が低い程、また濃度が高い程、高い選択性を示す。 ここで見い出された分子内エネルギー移動による不斉誘導(立体制御)は一般性が期待され、検討課題である。
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