金属錯体を用いた光増感電子移動反応における高速逆電子移動過程
Project/Area Number |
61223018
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Project Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大野 健 阪大, 教養部, 講師 (10029697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉原 彰雄 大阪大学, 教養部, 助手 (00029737)
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Project Period (FY) |
1986
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1986)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1986: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Keywords | 金属錯体の光化学 / 電子移動反応 / 励起三重項状態 |
Research Abstract |
励起分子が最低三重項の場合には、電子移動消光で生じた三重項ジェミナト・ラジカル対が行うのはバルクへのラジカル解離と逆電子移動の二つの過程だけとみなし、クロム(【III】),ロジウム(【III】),ルテニウム(【II】)錯体の光電子移動反応の収量(η)を測定して、スピン変換を伴う逆向きの電子移動の速度(kb)を決定し、速度を支配する要因を検討した。 Cr【(dp-phen)_3^(3+)】のd-d燐光状態(励起エネルギー:1.7eV,寿命:200μs),Rh【(dp-phen)_3^(2+)】の配位子に局在した燐光状態(励起エネルギー:2.7eV,寿命:72μs),Ru【(dp-phen)_3^(2+)】電荷移動三重項励起状態(励起エネルギー:2.1eV,寿命:2μs)はいずれも芳香族アミンによって還元的消光をうけてCr(【II】),Rh(【II】)錯体あるいはRu【(dp-phen)_2】【(dp-phen・^-)^+】がバルクに生成する。この時のηの値からlogkを算出し、過程のΔ【G^0】に対してプロットすると現象論的に次の事が言える。(【i】)Δ【G^0】が-1.8eV付近でlogKは極大となる、(【ii】),Δ【G^0】がより負になるとKは減少し始める,(【iii】),logKのΔ【G^0】依存性は反応系によって異なる。 三つの反応系の反応物は自己交換電子移動の速度が大きく(分子内振動が関与するフランク・コンドン重なり積分が大きく)、せいぜい-0.8eV付近でKbが極大になると予想される。従って、-1.8eVで極大になるのは、電荷が消滅するアミン(【Am・^+】→Am)はともかく金属錯体部分(【Rh^(2+)】→【Rh^(3+)】)は電荷が増加するので溶質-溶媒モードが関与するフランク・コンドン重なり積分がΔEによって急激には変化しなくなるためと解釈される。より負のΔ【G^0】でKbが減少することは電子移動消光に伴って失うΔ【G^0】が小さい程、エネルギーに富むフリー・ラジカルがより多く生成すること、つまりエネルギー効率と量子効率が共に高くなることを意味する。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)