生体系に作用する可視・近紫外域の増感剤の反応特性に関する基礎的研究
Project/Area Number |
61223023
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Special Project Research
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
佐々木 政子 東海大, 公・私立大学の付置, 助教授 (00090514)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 賢市郎 東海大学, 工学部, 教授 (90056086)
松尾 聿朗 東海大学, 医学部, 助教授 (00051574)
藤田 斉 東海大学, 医学部, 助教授 (10096258)
|
Project Period (FY) |
1986
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1986)
|
Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1986: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
|
Keywords | PUVA療法 / 8-メトキシソラレン / 5-メトキシソラレン / ソラレン誘導体 / フォトケモセラピー / 増強剤 / ドナー・アクセプター電子移動 / DNA |
Research Abstract |
PUVA療法の代表的増感剤である8-メトキシソラレン(8-MOP)とその異性体5-メトキシソラレン(5-MOP)を用いて、解明目標であった光化学プロセスの必須反応条件と考えられる"ソラレン化合物のヒト皮膚細胞の核へのとり込み"を本年度明らかにした。まず1.8-MOP,5-MOPがDNAにとり込まれる場の極性雰囲気は比誘電率35程度の低い極性雰囲気であること。2.8-MOPと5-MOPの蛍光はその存在的環境の比誘電率が20-80の間で相反する発光収率を示し、この極性領域で比誘電率の低下に伴って、8-MOPの発光収率は減少傾向を、一方5-MOPの発光収率は著しい増強を示すことを明らかにした。この結果は8-MOP,5-MOPが細胞の核DNAに取込まれるならば、8-MOPの蛍光は減少し、5-MOPの蛍光は増強されると示唆される。この仮定のもとに、ヒト皮膚の細胞-口腔粘膜細胞を8-MOP,5-MOPで増感処理し、蛍光顕微鏡で観察した。8-MOPで増感処理した細胞では核部でけい光は消光され暗部をなし、5-MOPで処理した細胞の核部でけい光は著しく増強され我々の予想通りの結果を得た。この結果、8-MOPと5-MOPはヒト皮膚細胞の核DNAに取込まれること、8-MOP,5-MOPが取込まれる細胞内ミクロ環境(DNAの二本鎖の塩基対間)は比誘電率35程度の低極性環境であると判明した。本年度の研究によりPUVA療法の光化学プロセスの第一過程"核DNAへのソラレン化合物の取り込み"が世界で始めて証明された。この成果は今後の光化学療法用薬剤・制ガン剤などの開発に大きな意義を持つと考える。なお、増感剤分子からの光励起電子の移動を直接検出するため、ドナー(トリエタノールアミンTEOA),アクセプター(メチルビオロゲンMV),増感シアニン色素Cy)の多層蒸着セルを作成し、光電検出〔TEOA→Cy→MVの電子移動〕を行った。
|
Report
(1 results)
Research Products
(7 results)