配位力の弱いオレフィン基質の触媒的不斉水素化の研究
Project/Area Number |
61225005
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Project Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
山本 經二 東京工大, 工学部, 助教授 (80025999)
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Project Period (FY) |
1986
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1986)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1986: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 不斉水素化 / ロジウム錯体 / DIOP(2,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)-5,5-ジメチル-14-ジオキソラン) / 3-フェニル-3-ブテン酸 / 光学活性 / 3-フェニルブタン酸 |
Research Abstract |
基質オレフィンの強い二座配位能に由来するデヒドロアミノ酸の高選択的不斉水素化によるアミノ酸合成に止らず、不斉水素化が有意義な新しいオレフィン基質を見出す試みがあっても当然であるが、現状ではそのような系統的な研究はない。 プロキラルな基質オレフィンの構造要因として、二座配位が可能であるがオレフィン部分での触媒錯体への配位能がデヒドロアミノ酸と較べて格段に弱い3-フェニル-3-ブテン酸およびその類縁体の不斉水素化を検討した。不斉ホスフィン配位子-ロジウム錯体触媒を用い、メタノール中,水素圧5気圧,室温で水素化を行ったところ、Rh-DIOPのみが有効であり、且つトリエチルアミンの添加が不斉収率,反応収率共向上させるために必須であった。三級アミンの添加が必要であるので、光学活性アミンを用いた二重不斉誘導を検討し、面選択性の要因を明らかにすることができた。 これらの結果から、基質オレフィンはカルボン酸陰イオンの形で、触媒への配位を助けることにより面選択性が向上するものと考えられる。 この水素化反応の全速度を測定し、殆ど同條件下で、(Z)-α-アセトアミド桂皮酸と3-フェニル-3-ブテン酸のTurnover Numberを求めたところ、後者は前者の約1/200であった。これはオレフィンの配位力の差を示すもので、面選択の為の不斉ホスフィンによる立体規制がより困難なことを示唆している。事実、DIOPのフェニル基のp位に電子供与性基を導入して触媒錯体の塩基性を増大させる試みは、立体効果の影響から逃れることができなかった。 しかしながら、反応溶媒の極性を更に高めるため、水-メタノール系を用いたところ、Rh中性錯体触媒によって85.1%eeで3-フェニルブタン酸を得ることができ、DIOPを用いる限り、不斉誘導能力の限界まで到達したものと考えられる。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)