嗅覚系神経回路網の形成機構と可塑性における膜表面糖鎖の役割
Project/Area Number |
61231002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Special Project Research
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
森 憲作 群大, 医学部, 講師 (60008563)
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Project Period (FY) |
1986
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 1986)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1986: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 膜表面糖鎖 / 嗅覚 / モノクローナル抗体 / 嗅神経線維 / 鋤鼻神経線維 |
Research Abstract |
嗅覚系受容細胞のタイプ別あるいはサブタイプ別の膜表面糖鎖表現を調べる目的で、種々の糖鎖構造と特異的に結合するモノクローナル抗体や各種植物レクチンを用いてウサギ嗅覚系を組識化学的に検索した。延長したグロボシリーズ糖鎖を認識するモノクローナル抗体(抗-SSEA-3、および抗-SSEA-4)は副嗅覚系の全ての受容細胞(鋤鼻受容細胞)およびその軸索(鋤鼻神経線維)を染めたが、主嗅覚系受容細胞(嗅細胞)には結合しなかった。従ってこのグロボシリーズ糖鎖は、副嗅覚系受容細胞の膜表面でのみ選択的に表現されており、嗅覚系受容細胞の特定のタイプに特異的な膜表面糖鎖構造だと考えられる。一方、Galの1→3Galβ1→4GlcNAc→Rというラクトシリーズ糖鎖構造の一部を認識するモノクローナル抗体(2C5)は、嗅細胞の特定の(これまで知られていなかった)サブタイプを選択的に染めた。2C5-陽性嗅細胞(全嗅細胞の約10〜20%)は、嗅上皮全域に広がり、2C5-陰性嗅細胞と入り混じって分布していた。しかし、2C5-陽性の嗅神経線維は主嗅球の特定の糸球へ選択的に投射する傾向を示した。モノクローナル抗体2C5は副嗅覚系受容細胞のサブタイプをも認識した。Fucosyl-poly-N-acetyllactosamine構造をもつラクトシリーズ糖鎖を認識するモノクローナル抗体(4C9)は、成体のウサギの嗅細胞には結合しなかったが、鋤鼻受容細胞の特定のサブタイプを選択的に染めた。4C9-陽性の鋤鼻神経線維は副嗅球の吻外側部に密に投射していた。さらに、生後まもなくのウサギでは一部の嗅細胞が4C9-陽性であった。これらの結果は「嗅細胞や鋤鼻受容細胞の各種サブタイプは、それぞれ特異的なラクトシリーズ糖鎖構造を膜表面に表現していること」および「これら受容細胞の膜表面糖鎖構造は、嗅覚系の胎児期および幼児期における発達とともに変化すること」を示している。
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Report
(1 results)
Research Products
(2 results)