Project/Area Number |
61231020
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Special Project Research
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小田 洋一 阪大, 基礎工学部, 助手 (00144444)
|
Project Period (FY) |
1986
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1986)
|
Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
Fiscal Year 1986: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
|
Keywords | 連合学習 / 古典的的条件付け / 赤核 / 青斑核 / ノルアドレナリン / カテコールアミン / 可塑性シナプス / 発芽 |
Research Abstract |
1.学習の初期及び後期の神経メカニズムを探究することを目的に、高等哺乳動物の限局された神経回路を用いた学習標本を確立した。2.学習標本はネコの赤核脊髄路を介する古典的条件付けである。大脳皮質から赤核への入力線維とノルアドレナリン・ニューロンの主要神経核である青斑核の刺激を組み合せることによって、大脳-赤核線維の刺激に対する前肢の屈曲応答を条件付けた。3.屈曲応答の潜時(8.2ミリ秒)は、大脳-赤核脊髄路の最短伝導時間に対応する。4.屈曲応答の獲得は、2つの刺激を120ミリ秒の間隔で組み合せたとき、約1週間の時間経過で成立し、その後20日間以上も保持される。どちらか一方の刺激のみ与えた場合には、条件応答は獲得されず、この条件付けが連合学習のカテゴリーに入ることを結論した。5.屈曲応答の獲得に並行して、大脳-赤核線維の刺激に対する赤核細胞の興奮性応答が上昇していることが、ユニット記録により示された。すなわち、赤核細胞の発火応答は、2つの刺激を組み合せて与えたネコで特異的に高く、一方の刺激のみ与えられていたネコでは、刺激を与えない群と同様の応答しか得られなかった。6.大脳-赤核線維の刺激に対する赤核細胞の興奮性応答の増強は、刺激開始から3ミリ秒以内の単シナプス性応答に現れた。このとき、赤核細胞の自発発火のレベルや、もう一つの興奮性入力である小脳中位核の刺激に対する応答に変化が見られないことから、条件付けによって大脳-赤核シナプスの伝達効率が上昇したと考えられる。7.カテコールアミンの合成酵素(チロシン水酸化酵素・ドーパミンβ水酸化酵素)やレクチン(PHA-L)を用いた免疫組織化学法により、青斑核から赤核への投射が示唆された。8.大脳皮質及び青斑核由来の伝達物質候補の赤核細胞に対する作用については脳切片法を用いて現在検討中であり、2入力の組み合せの初期過程の研究が期待される。
|