脳の分化,神経回路形成の可塑性:ニワトリ・ウズラ・キメラ脳による解析
Project/Area Number |
61231023
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Special Project Research
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
仲村 春和 広島大, 医学部, 助教授 (90079690)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 正夫 広島大学, 医学部, 講師 (00109399)
|
Project Period (FY) |
1986
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 1986)
|
Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 1986: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
|
Keywords | 脳の分化 / ニワトリ・ウズラ・キメラ / 網膜一視蓋投射 / 分化の可塑性 / モノクローン抗体 |
Research Abstract |
脳はその発生の初期に前脳胞,中脳胞,菱脳胞という基本的な枠組みができ、その後の複雑な構造の基礎になる。本研究ではこの脳胞の分化の可塑性について、ニワトリ・ウズラ・キメラを作製して解析した。 まず、孵卵2日目で、7-10体節期のウズラ前脳胞の背側の一部をニワトリ胚中脳胞の背側に移植した。孵卵15日に移植を受けた脳の左眼(移植と反対側)に【^3H】-プロリンとホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)を注入し、注入10-15時間後にDAB反応を行って視蓋での視神経の走行を観察した。次にCarnoy液で固定し、連続切片を作製後オートラジオグラフィーを行った。移植片は、その核の形態により、ニワトリ細胞と識別できる。一部の脳は4%ホルムアルデヒドで固定後、30μmの凍結切片を作製して、ニワトリの神経線維と特異的に反応するモノクローン抗体で免疫組織化学的に染色した。 移植された前脳胞は中脳に完全にとり込まれると視蓋様の層構造をとった。この様な前脳胞が中脳に移植されることによって分化した視蓋様組織が視神経の投射を受けるかどうかは大変興味のある問題である。オートラジオグラフ上で銀粒子の分布パターンをグラフに表してみると、移植片領域とホスト領域で同様であった。この分布パターンは正常発生過程で、視神経が視蓋にシナプスを形成して投射するパターンと同様である。またニワトリ視神経線維と特異的に反応するモノクローン抗体で染色しても、移植片が視蓋様構造をとっている例では、移植片領域,ホスト領域で視神経線維は連続していた。以上の結果は、前脳胞から分化した視蓋様組織は真の視蓋であることを示している。一方、視蓋には分化できるような7-10体節期の前脳胞を小脳の発生の場である後脳に移植すると決して小脳には分化しなかった。これらのことは分化の決定が段階的に起こっていくことを示している。現在、電顕により移植片へのシナプスを観察している。
|
Report
(1 results)
Research Products
(6 results)